2015年10月22日木曜日

陰の功労者



今年もCIVA(Commission Internationale de Voltige Aérienneの略、FAI Aerobatics Commissionとも表されます)の会議が始まりました。今年の開催場所は、ハンガリーのブダペストです。今年も日本のCIVAの副代表である鐘尾みや子さんが出席し、さらに青山直子さんが同行し、補佐をしていただけることになりました。




CIVAとは、FAIの傘下にある曲技飛行競技を統括する部門です。毎年10月から11月に行われる会議では、各国から多くの議題が提出され、時に順調に、時に論戦が続きながら行われます。曲技飛行競技で、特に世界選手権で日本人競技者が優位に立つためには、日本の代表者がCIVA会議に出席することは非常に大きな意味を持ちます。




国際団体の会議ですから、当然のことながら使用される言語は英語です。私はアメリカに永住して今年で16年、それ以前の滞在も含めれば18年はこの国に住んだことになります。おそらく私は元々の言語を司る能力が弱く、会議の進行に追従することにはいつも苦労をさせられます。普段英語に浸っている私がこのような調子ですから、日本に在住されている方が単身でこの会議に挑むことは、さらに大変な労力となることでしょう。ヨーロッパ圏の他の国々でも見られるように、少なくとも2人体制でこの会議への参加が、曲技飛行競技を真剣に考えるのであれば、今後も毎年続けられるべきです。




数年前、IAC(International Aerobatic Club、米国内の曲技飛行団体)のプレジデントをされていた方が、会報でこのようなことを書かれていました。


「プレジデントになってから数年、本職の時間の前後はほぼIAC関連の業務に時間を費やしている。昼夜の連絡はもちろん、深夜もメールだけでなく、緊急の電話がかかることも多い。報酬と言えるようなものはなく、会議への出席や、全米選手権、世界選手権が国内(米国内)で行われた場合の交通費や滞在などの実費、そしてわずかな日当の支給があるだけだ。それでも、私は曲技飛行を愛しているから、曲技飛行を愛する会員のためにも続けたいと願っている。」 (記憶を頼りに意訳し、多少の脚色を施しました。)


現在のところ、日本からのCIVAの会議の出席に当たり、NACから支給される補助金額は1人分の実費のみ、20万円が上限となっています。開催国はほぼ毎年がヨーロッパであり、日本から参加となると、交通費と参加費ですでに上限を超え、超えた分は自費での参加となります。私も過去に2回オブザーバーとして参加しましたが、全額が自己負担での参加は、肉体的だけでなく、金銭的にも大変な苦労がありました。




日本で曲技飛行の話題となると、世界曲技飛行選手権や国内の曲技飛行競技会と、参加する競技者についてがほとんどでしょう。日本人競技者が世界選手権で活躍するためには、日本人曲技飛行競技者を育成することはもちろん重要ですが、残念ながら国際団体であるCIVAの活動に参加することに関して、その重要性が語られることはありません。曲技飛行競技活動を真剣に考えるのであれば、積極的に参加して、日本に有利な方向に向けていかなくてはならないのです。

ヒーローである曲技飛行競技者が活躍する陰には、人知れず活動する功労者があること。過去10年に渡る参加でCIVAの中で地位を確立し、多忙の中、今年も会議に参加されている鐘尾さん。そして同行していただけた青山さん。残念ながら、上に示した額以上の補助をするシステムはまだ見当たらず、今回も寄付という形で参加させていただこうと思います。わずかではありますが、どうぞよろしくお願いします。

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