2022年3月17日木曜日

2022 US Glider National Aerobatic Championships & 2022 Estrella Classic

 



武漢ウィルスに支配された世界から、人類の活動は少しずつ復活しつつあります。ここ米国では、全米曲技飛行選手権が昨年2021年に再開され、地方競技会も例年通りに開催されました。いつくかキャンセルになったエアショーイベントもありましたが、多くはほぼ無事に開催されたようです。

次々に形態を変えながら、我々人類の隙を探して、危害を加えようと忍び寄る武漢ウィルス。定期的なワクチン接種やマスクの着用、消毒、手洗いなどを徹底しつつ、人類の活動を再開していくべきなのでしょう。

前回お伝えしたように、先月で「Full time Aerobatic Instructor」を引退した私の活動第一弾がこちら。AZ州Maricopa(マリコパ)、Estrella Sailportで行われる滑空機曲技飛行競技会のジャッジ活動です。




HWY 101号線に乗って、出発。
現地までは約700 Miles、約1126㎞の距離です。


先に「滑空機曲技飛行競技会」と一括りにしましたが、開催されるUnlimited、Advanced、Intermediate、Sportsmanの4カテゴリーのうち、UnlimitedとAdvancedは今年からUS Glider National Aerobatic Championships(全米曲技飛行選手権)という扱いになり、上位の成績を得た競技者は2022年の世界選手権出場の権利を得ることになります。
そして、IntermediateとSportsmanについては、これまで行われたRegional Aerobatic Competition(地方曲技飛行競技会)という扱いになるようです。




HWY 40号線

40号線は初めて走る道ですが、2時間走ってもガソリンステーションも集落もないところでした。CA州でまだこんなところがあるとは。本当に広い州です。




おはようございます。
昨夜はColorado川を越えてAZ州に入りました。満月と一緒にキャンプしました。





2月15日。日本はまだ真冬の寒さの日が続いていますが、しかしここはもう春です。穏やかな朝の陽ざしの中の朝食です。




再び出発。景色がアリゾナです。すてき。




Lake Havasu City近く




サボテン、こんにちは!




Estrella Sailportに到着。練習飛行が繰り返されていました。







Aerobatic Boxは滑走路を超えた向こう側、山の手前です。




Estrella Sailportは広大な敷地の中にあります。キャンプをと思いましたが、こちらのBunkhouseに招待されました。そうですね、これから4日間、疲れを残してはいけませんし。折角ですからお世話になります。




Tow plane(曳航機)に曳かれて滑空機が上昇していきます。




立派なキャンパー。いいですね!




忙しく飛行する、曳航機のPiper PA-25「Pawnee」。




風が強い・・・
この期間は珍しく気温が低く、上空には雲が見えたり、時折雨が降ったりしました。暑さの中、陽ざしを避けるように活動するようになると思いましたが、意外にも太陽の温もりがありがたいです。




CO(コロラド)州Colorado SpringsにあるUS Air Force Academy(空軍士官学校)からやってきたグライダーのトレーラーです。Air Force Academyには滑空部門と曲技部門があり、曲技部門は春のEstrella Sailportと、秋のUS National Aerobatic Championshipsにグループで参戦しています。




私も一応は滑空機の操縦資格は持っていますが、しかし一人で飛行する技量は持ち合わせていません。私も彼らのように飛びたい。今年こそは訓練を再開したいものです。




みんな、お疲れさま。




バンクハウスのリビングです。あれ?何かおかしい・・・。ああ、なるほど。キッチンに流しがありません。でもご心配なく。現在改装中だそうです。




・・・おや?




AREA 88のDVDを発見しました!

ここEstrella Sailportは、多くの日本人飛行士が訓練にやってくるそうです。私も2年前に訓練にやって来ました。素晴らしい教官たちがそろっています。ぜひどうぞ。


AZ Soaring, Inc.: https://azsoaring.com/




今日は満月です。




おやすみなさい。




おはようございます。今日は競技1日目です。




寒い・・・
ここ最近、偏西風の蛇行のためか、気温が低いです。今朝の気温は1℃でした。




PA-25 Pawnee、暖機運転中。




午前7時、ブリーフィング開始です。




Estrella Classic




MDM-1 Fox

UNLレベルの曲技飛行が可能な曲技飛行滑空機です。固定脚の複座機で、練習機として使われますが、世界選手権でも活躍する性能を持っています。




SZD-59

引込脚方式の単座の曲技飛行滑空機。世界選手権でも現役の機体です。グライダーらしい形状の、美しい機体です。




時間です。滑走路を横断して、ジャッジラインへ。




みなさん、よい飛行を!




今日のオフィスはここ、ジャッジラインです。今回は私を含め、計6人のジャッジが揃いました。ジャッジの数が多ければ、一般的には判定の精度が上がる・・・と言われます。がんばりましょう。




ウィンドソック(吹き流し)の周囲を囲む古タイヤ。Segumented Circleを形成しています。




あの山の、あの辺り・・・ あれがBoxのY-Axis(Y軸、Boxの中心)の目標と、定めます。




人の手の加わっていないところには、このような景色が永遠と続いています。

Welcome to the Wild West...




昼過ぎ。ここで中断して、昼休みです。おなかが空きました。




次の競技者はUS Air Force Academyの学生です。がんばってください!




滑空機に取り付けられたサイティングデバイス

地平線に対する機体の姿勢(角度)を測る装備です。Power(動力機の意、つまり飛行機)部門で用いられる判定基準は、垂直と45度、そして水平の角度のみですが、滑空機ではSportsmanとIntermediateカテゴリーに限り、45度の代わりに30度が用いられます。そのための30度の棒が追加されています。




・・・




楽しい。




1700時過ぎ、本日の競技飛行が終了しました。



1日目に行われた各カテゴリーの成績です。











競技に参加した方ならわかることでしょうが、飛行に満足することはまずありません。どれだけ練習しても、準備を重ねても、必ずどこかに不満が残ります。でも、まずは一日を安全に終えたことを喜びましょう。

私も今日の反省点を胸に、また明日のジャッジに臨みます。



そして3日目。すべての競技飛行を終えて、最後を飾る4-minute Freestyleです。

4-minute Freestyleは、精度などを判定して競う通常の曲技飛行競技とは異なり、音楽やスモークシステムを用いて、エンターテインメント性を競う部門です。ただPowerのように、Gliderは4分間という長い時間の演技することはできませんから、時間制限に関しては免除されます。

実は、私がグライダーの4-minute Freestyleを判定するのはこれが初めてです。過去に参加したWorld Glider Aerobatic Championshipsでは4-minuteは行われませんでしたし、耳にするのもこれが初めてです。




Swift S-1

引込脚、単座の、最高峰の曲技飛行滑空機です。プロトタイプの飛行は1991年と古い機種ですが、現在までこの機体を超える性能を持つ曲技飛行滑空機はありません。でもそろそろ、新しい機種が望まれます。どなたか、設計開発をいかがですか?




UNL競技者のサシャさんがSwiftの翼端に発煙筒を取り付けています。コンバットトレーニングなどに用いられる発煙筒で、速度が速いと煙が薄くなるものの、性能上は十分とのことです。




同じくUNL競技者のエリックさん。

彼は過去10年ほどに渡り米国代表として世界選手権に参戦してきました。今大会ではこの4-mnute Freestyleを含め、総合優勝しました。素晴らしい飛行でした。




まずはエリックさんが出発です。どうぞよい飛行を!










4-monute Freestyleの採点は少々工夫がいりますが、経験次第です。




そして、サシャさんの出発です。イタリア人の彼は、数年前まではイタリアチームの一員として世界選手権に参戦していました。米国に移住してからは練習飛行もなかなかできず、今回も直前に2回練習飛行しただけでの参加だったそうですが、素晴らしい飛行でした。





2022 US Glider National Aerobatic Championships

皆さん、美しい演技をありがとう!



リザルトはこちらから。

2022 US Glider National Aerobatic Championships - https://iaccdb.iac.org/contests/796
2022 Estrella Classic - https://iaccdb.iac.org/contests/795



IACのWebsiteにも掲載されました。





さて帰りましょう。




521 Miles to go...
今日はどこかでキャンプです。



今回の参加はとても有意義なものになりました。自画自賛で申し訳ありませんが、「お前の判定は首尾一貫していて、コメントもわかりやすい。とても役に立ったよ。」と、多くの方々から感謝の言葉をいただきました。

私は過去10年ほど、World Glider Aerobatic ChampionshipsにInternational JudgeやAssistant Judgeとして参加し、今回はそれらの経験で得られた知識や技量を活用して行いました。

仲間の力になることができて、本当によかった。参加して本当によかった。

皆さま、またお会いしましょう。