2017年2月25日土曜日

Pitts S-2S 整備作業 8


再びエンジン側に戻り、バッフル部分の作業を終えてしまいます。新しく作り変えるか迷っていた前側バッフルですが、補修して使うことにしました。




後側のバッフルが変形していたのは、エンジンに固定する部品がなかったためでしょう。曲技中のダイブ時の速度は最大でおよそ220MPH(約354Km/H)、その風圧を受ける部分ですから、確実な固定が必要です。




プロペラを外していることですし、今回はクランクシャフト シールも交換します。




新しいシールは柔軟性があります。オイル漏れも解消することでしょう。 




これまでは、写真のように2本のスクリュードライバー を使って取り付けていましたが・・・。




職場にあったクランクシャフトシールの取り付け工具を拝借します。




練習中。




お湯で温めると、やわらかくなり、取り付けしやすくなります。




入りました。接着剤で固定させます。




マグネト(磁石型の点火用発電機)のインターナルタイミング(内部の点火時期調整)を行います。1年間の飛行時間もおよそ50時間程度、毎年行っているのでほとんど変化もありませんが、エネルギーは有効に使いたいものです。




Good! 

Sky Dynamics社製のFeatherweight Flywheelに交換しました。「加速性能が向上する」と書かれていますが、飛行機は自動車とは運転方法が異なりますし、疑問に思うところです。約3.5LBSの軽量化はクランクシャフトへの負担を減らし、安全性の向上に貢献することと思われます。

Sky Dynamics (http://www.skydynamics.com/




排気管の近くを通る配管に耐熱処理を施します。




Good!です。




どうだったかな? 写真を見て確認しながら作業を進めます。




!! すごい雨です。

ここは高台で大丈夫ですが、川の水が溢れて、いろいろなところで通行止めとなっています。




エンジン左側。 




右側。順調です。 




排気管の内部は鉛の堆積が酷いです。マスクをして、吸わないように・・・




排気管の端は所々変形しています。形を整えて、排気漏れを防ぎます。




排気管の清掃と取り付けで2日かかってしまいました。


どうやら、2月中に全ての作業を終えることは無理のようです。来週からは職場に戻りますから、試験飛行は3月中旬というところでしょうか。まだまだ作業は続きます。

2017年2月16日木曜日

Pitts S-2S 整備作業 7


2月。春らしくなりました。今朝はいい天気。歩いて来ました。




バッフルの大まかな調整が終わり、エンジンの取り付けに入ります。エンジンは4本のAN8ボルトでエンジンマウントに取り付けられます。




・・・入りません。Pitts S-2Sのエンジンマウントは下側の寸法が短いため、エンジンマウントを先に機体に取り付けてしまうと、下側2本のボルトは入らないのです。すっかり忘れていました。再度、エンジンマウントを外し・・・




準備完了です。




エンジンの取り付けは緊張する作業です。慎重に、慎重に。




ボルトが入らないときは何度やっても上手く入りません。人の力でどうなるものではありませんから、意外にも非力な人間の方が得意な作業だったりします。




でもやはり入らないこともあります。おやつにしましょう。




おいしい。 




ついに4本のボルトが入りました。配線や配管などは後に作業するとして、尾翼の取り付け作業に移ります。




今回の改修作業で、水平安定板を計8本のブレースワイヤーで支えるようにします。高迎角時の水平安定板の振動を解消し、剛性と信頼性の向上が期待できます。




去年の作業中の写真です。後側が4本のブレースワイヤ―、前側は下にストラットで固定されていました。




まずは後ろ側の4本を取り付け。




垂直尾翼の前側ブレースワイヤー取り付け部は昨年取り付けました。




計8本のブレースワイヤーが取り付けられました。




続いて、エレベーターを取り付けます。




水平安定板の面積はおよそ12.9%減少しました。タンブル系が楽しみです。




形状を変えても違和感はないように思えますが、いかがでしょうか。Pittsとしての形は崩したくなかったので安心しました。




オレンジ―ピール(ゆず皮上の塗装面の凹凸)となってしまった塗装表面は、尾翼のみ平滑に仕上げました。I-ストラットは形状が複雑なため、諦めてこのまま使用します。




オレンジ―ピールが目立つ塗装表面が残念です。でも、主翼とI-ストラットの取り付け部の隙間はきれいに埋まりました。満足です。




I-ストラット下側。ここも満足です。

まだ続きます。

2017年2月8日水曜日

Pitts S-2S 整備作業 6

整備作業の話題ばかりです。3月にはTutima Academyの職場に完全復帰しなくてはならないため、毎日忙しく過ごしています。先週は私のエアショー&競技飛行のコーチである鐘尾さんが、曲技飛行訓練と、整備作業のお手伝いにいらっしゃいました。ありがとうございます。




おはようございます。ゆっくり休めたでしょうか?




鐘尾さん、スクーターと散歩へ。作業が終わったら、またツーリングへ出かけてみたいです。




下塗りを終えた部品をサンディングし、平滑に仕上げます。




今回の部品数は7点。去年は胴体を一緒に作業していただきました。




今年は必要最小限に薄く塗ることができ、サンディングも軽快に進みました。






Good!です。 




糸の縫い目の間は傷つけやすいのですが、きれいに仕上げてくださいました。




塗装場のT-6や設備を外に出し、中を掃除します。




ポリウレタン系塗料を使用しますので、完全防護です。




午後5時。塗装開始!




失敗しました。 塗膜の垂れ、オレンジピール(表面が凹凸になること)、HVLPのスプレーシステムはどうも上手にいきません。夜間の作業で明るさが足りず、マスクが曇ってよく見えなかったことも原因です。2-3日待って、再塗装することにします。




鐘尾さん、練習飛行へ出発です。 バリスティック エルロンロール(放物線状のエルロンロール)や、複数回のスピンを行って、スピン中の操縦系統の影響などを再確認しました。

このBlogをご覧になっている方はもうご存知でしょうが、「スピン中は失速しているためエルロンは効果を失う」とは迷信です。相対風が迎角を持って翼に当たれば、そこには何かしらの反応が起きます。スピン中にエルロンを回転方向に入れたら?反対方向は?エレベーターを操作したら?パワーが入ったら?楽しみは無限大です。




加えて、スナップロールにローリングターンなど、盛りだくさんでした。お疲れさまでした。

競技飛行は挑戦があり、楽しいものですが、つい飛行の本質を忘れてしまいがちになります。Back to Basics。ぜひお試しください。




作業も一段落しましたので、ラグナマウンテンに射撃に来ました。




鐘尾さん、Sig P229R、半自動式拳銃を楽しんでいます。




AR-7、サバイバルライフルと。鐘尾さん、お陰さまで作業が早く進みました。ありがとうございました。




エンジン側の作業も同時進行です。Powder Coatingしたエンジンマウントを取り付けます。




エンジンを取り付ける前に、後ろ側のバッフルを完成させます。




オイルクーラーのダクト部にバッフルシールを取り付けます。 




作成したバッフルがショックマウントに当たります。少し削ります。




まだ当たるかな?もう少し削ります。

続きます。