2013年3月29日金曜日

明日も飛ぶ

明日も飛ぶ

この言葉は、3月15日北海道の日高山脈で、モーターグライダーの墜落事故で亡くなった(発見は3月18日)加藤隆士さんが大切にしていた言葉だそうです。
残念ながら、私は生前加藤さんにお会いすることはできませんでしたが、この言葉は我々の進むべき道を示しているように思います。

正直なところ、明後日のことは私にも判りません。
しかし、明日は必ず飛びます。
そして、おそらくその翌日も飛ぶことでしょう。

残った人々と力を合わせ、加藤さんの遺志を受け継いで、「明日も飛ぶ」ことを合言葉に、前に進んで行こうと思います。

ご冥福をお祈りします。

加藤隆士さんのBlog
http://takashikato.blog64.fc2.com/



夕食に近所の日本食レストランにとんかつを食べに行きました。
これで明日のSAC(Statement of Aerobatics Competency)の試験は合格間違いなしです。

アメリカでAirshowの飛行を行うには、ICAS(International Council of Air Shows)が管理するACE(Aerobatic Competency Evaluation)というプログラムに参加し、SACを取得する必要があります。
故Rock岩崎さんや、WP Aerobatic Competiton Teamの内海さんが取得している資格で、私もようやく挑戦することになりました。

本来なら1月下旬の段階で試験を受ける予定でしたが、CanopyやPropellerの問題で先延ばしになってしまいました。
小雨の降る中離陸して、目的地のPine Mountain Lake空港へ向かいます。

私の試験官はWayne Handley氏です。
http://www.waynehandley.com/



Pine Mountain Lake空港。
標高2933ft(約893m)。空が近いです。
 
1月の段階ですでに座学と口述試験が終えられているので、試験官と打ち合わせの後離陸です。
今回の試験で飛行する内容はこちら。 
 
 
Positioningなど、まだ改良の余地があります。
 
 
 
ACEの飛行中の映像。
 
試験官は崖の上で飛行を見て、そこから500ftを最低高度とします。
このように谷間で飛べば、対地高度を稼ぐことができるのですね。
時々、試験官のいる場所が判らなくなってしまいましたが、無事に試験を終えることができました。
 
 
 
飛行後のLoad Meter(G Meter)。
左と右の針が飛行中の最大の荷重を示しています。
 
個人的に、+6G/-4G未満での飛行を目標にしています。
競技飛行で10点満点の飛行を。
こんな目標がない限り、飛行機や自分自身に不必要な負荷をかけることはありません。
負荷が少なければ飛行機の安全性を保てますし、体への負担が少なければ余力を安全確保や飛行精度に宛がうことができます。
この点に関しては合格です。
 
 
 
そして記念撮影。
Wayneさん、忙しい中ありがとうございました。


2013年3月21日木曜日

試験飛行終了

CrankcaseからのBreather TubeをExhaust Pipeに繋ぐために、Stainless Steel製のAN Fittingを溶接してもらいました。
いつもいい仕事をしていただき、ありがとうございます。


空港隣の金属加工工場、Valley Machine。



作業後のExhaust Pipe。



Crankcase Evacuation System

Air Oil Separator(写真左上)からの配管をExhaust Pipeに繋げて完成です。
熱の影響は様子を見て判断するとします。



修理に出したMTV-9-B-Cが戻ってきました。
地上試運転も順調です。
Engine Cowlを取り付けて、試験飛行に出発。



交換したEngine Control Leversは、とても使い易く、感動です。
設定位置を常に目で確認でき、また手元で即座に調整が可能です。



Cowl下から見える取り付け部が気になりますが、仕方のないことでしょう。

試験飛行として2013年のSportsman Knownを飛んできました。
飛行後、写真左側のExhaust Pipeからは、Engine Oilが少し垂れていることが見えました。
Breather Tubeとして機能していることを示しています。

Propeller部には僅かにGreaseの漏れが見えましたが、これは組み立て時の残りですから、数時間の運転で減ってくるはずです。
作業終了です。

2013年3月17日日曜日

Pitts S-2C Checkout Training

朝、職場に来ると、こんなおもちゃが出迎えてくれました。


紙飛行機に小さな電池とプロペラが付いています。



乾電池から充電する、充電式の電池のようです。
 


モーターとプロペラ部。



飛行映像。

元気に飛ぶ姿がかわいらしいです。
遠くへ行ってしまわないか心配ですが、うまく翼を調整すれば、旋回し続けるようです。

PowerUp Toys
http://www.poweruptoys.com/


今日はJimさんがPitts S-2Cの後席から初飛行しました。
PittsのCheckout訓練は、まず前席で何回か飛行をして頂いて、ある程度飛行機に慣れてきてから後席に移行します。
飛行前に、機内の装備やEngine Start操作の説明を一通りして、出発です。


Aileron Roll



Inverted Flat Spin



That was FUN!

「後席は視界がいいし、操作の感覚もいいよ。」とJimさん。

これまでもSuper DecathlonやCitabriaで長く飛行してきた方なので、Pittsの曲技飛行の運動性能は楽だそうです。
基礎ができている方なので、上達も早いです。
とてもよい飛行でした。

2013年3月15日金曜日

Engine Control変更作業



前々から希望していた、Lever型のEngine Controlに交換します。
元は、Throttle、Propeller、Mixtureの3本のEngine Controlでしたが、Throttle Leverは既存の部分を使うため、不要なThrottle Leverの部分を削りました。



機体外板を外して外側から作業します。
ご覧のように、Mixture Control(赤)が写真右に、Propeller Control(黒)は写真左上に取り付けられていました。
特に、Propeller Controlは遠く、手が届かずに苦労していました。



Control Cable2本を機体側に固定する部品を製作します。



今日の作業はここまで。
Propeller SpeedもMixture Settingも、手元で瞬時に操作が可能になりました。
明日はControl Cableを入れ替えて、稼動範囲の調整です。

2013年3月12日火曜日

Livermoreの春


Livermoreに春がやってきました。
今年の冬は例年よりも3-4度Cほど寒く、朝は氷点下になることも珍しくありませんでしたが、2月に入ると寒さが和らぎ、さらに3月になるといろいろなところで花が咲き始めました。


ご覧のように、家の前(私の家ではありません。私は相変わらず居候生活。)の木には白い花が咲いています。
何という名前でしょうね?


先週修理に出したMTV-9-B-C Propellerは、内部に大きな問題はないものの、3本全てのPropeller Blade根元のO-Ringの溝に腐食が見つかったという知らせが来ました。
これがO-Ringを傷付け、Grease漏れの原因になったということです。

内部の損傷がないこと、BladeにEngine Oilによる汚染がなかったことは幸いでしたが、修理のために本社に送る必要があるそうです。
やれやれ、また出費がかさみます。



Aeroquip 303 HoseにAeroquip 491 Fittingを取り付けます。

というわけで、少なくともあと1週間は飛行できません。
この機会に、以前にも題材にした「Crankcase Evacuation System」への改造を進めます。
改造と言っても、単にAir Oil SeparatorからのBreatherをExhaust Pipeに接続するだけの話ですが。



Hose Fitting取付用の自作工具。
ここでも役に立ちました。

Air Oil Separatorに取り付けてあった、内径3/4 inchのMIL-6000-12のHoseを外し、内径5/8 inchのAeroquip 303に交換します。
それに伴って、大きさが揃うようにAN Fittingを交換して、Exhaust Pipe側にステンレス製のAN816-10SSを溶接します。

これでどのくらいの効果があるのか楽しみです。

2013年3月10日日曜日

夏時間です

昨日は久しぶりに仕事が入り、朝8時から4回の飛行という忙しい一日でした。


皆さんPittsでの飛行が初めてというわけでもありませんが、まだ慣れていない方もいて気が抜けません。
Pittsの訓練飛行、特に離着陸訓練では、無線交信、訓練生への指示、他機の監視、速度の速いPittsでは体力と言うよりも、精神的に疲れが出ます。



そして、気が付いたら深夜です。
部屋に帰った後、ドーナッツを食べて、眠くなって、そのまま寝てしまったのでした。
お腹が空いたので、うどんでも食べよう。


そう言えば、日曜日から夏時間だそうです。
現在、10日、日曜日の午前1時20分。
本来ならあと40分で午前2時ですが、それがそのまま午前3時になるのですね。
部屋中の時計を調整して、準備は完了です。

それでは、あと少し眠るとします。
お休みなさい。

2013年3月7日木曜日

2013 Sportsman Known

Propeller Greaseの漏れの解決策として、MT-Propeller側から「Propellerを180度回転させて取り付けることはどうか?」という意見を頂きました。
以前、修理をしてもPropeller Bladeに度々故障が起こる製品があり、試しに180度位置を変更して取り付けたところ、それ以降問題が起こらなくなったということがあったそうです。
点火時期との兼ね合いなど、影響があるのかもしれません。

それでは作業開始です。



Engine Cowl前部を取り外します。



3/4 inch幅のOpen End Wrenchを使って、6本あるMounting Boltsを外します。
 
Mounting Boltsは6本あるので、全てが突然外れることはまずないでしょうが、脱落させないよう、注意しながら行います。
何度行っても、いつも緊張するところです。



Hartzell Propeller Wrenchの登場です。
 
MTV-9-B-CのMounting Boltsの規定Torqueは90-100 ft-lb(300HPを超える場合)。
これまで、PropellerのMounting Boltsの締結では、高いTorqueのためにWrenchが広がって滑ったり、外れて怪我をしそうになったりと苦労していましたが、この「Hartzell Propeller Wrench」は剛性が高く、作業効率が格段に違います。



ご覧の通り、楽に作業が行えます。

Hartzell Propeller Wrench
http://www.averytools.com/prodinfo.asp?number=3528



Safety Wireの取り付け。

Boltの穴の向きが悪いと、Safety Wire(安全線、緩み防止のため)の取り付けで苦労します。
時は21世紀。そろそろ、何かよい設計にはならないものでしょうか?



取り付け終了です。
相変わらず美しくありませんが、機能には影響ありません。
などと言っているので、いつまでたっても苦手な部分です。

取り付け後、地上試運転を数回行いましたが、相変わらず漏れが続きます。
しかし、隙間に残ったGreaseかもしれませんから、試験飛行も行ってみます。



2013 IAC Sportsman Category Known Sequence

ただ飛ぶのでは面白くありませんので、2013年のSportsman Knownを飛んでみます。
試験飛行には丁度よい素材です。
6番のHorizontal EightはK-Factor(難易度)が高く、ここが勝負の別れるところでしょう。



2013 Sportsman Known

最大出力330HP@2700rpmのPower PlantをFullに使ってしまっては参考にもなりません。
MAPを最大20in-Hg/2500rpmに、そして最大+4G/-1Gに抑えての飛行です。
通常のPitts S-2B/S-2Cとほぼ同等の性能と思われます。



2013 Sportsman Known Outside

帰るのはまだ少し早いと思い、今度はこのSequenceをOutsideで飛行してみます。
-3G程度で、無理をしないように・・・。
しかし、途中まで行ったところで、Engine OilらしきものがCanopyに見え、中断して帰ります。

どうやら、Propeller内部でもLeakが発生しているようで、修理に出すことになりました。
大きな問題にならなければよいのですが。


実は、1番目の動画では間違いがあります。
おや?と思った方は、曲技飛行競技でJudge(審判)をいかがでしょうか?
9月の全日本曲技飛行競技会でお会いしましょう。
ご連絡お待ちしております。

追記: 上記の間違いは故意ではありません。
最後で気を抜いてしまったのか、本当に間違えてしまいました。
競技者の皆様、本番でこんなことにならないよう、どうぞご注意を!

2013年3月1日金曜日

Limited Unlimited

アメリカの曲技飛行団体である、IAC(International Aerobatic Club)のHPが新しくなりました。
何と、バナーの写真がランダムに入れ替わります。

https://www.iac.org/

いろいろな飛行機の写真に加え、故Vicki Cruse、そして故Reinald Beyer、懐かしい人たちもいました。
また会えてうれしいです。


曲技飛行競技は工夫次第で無限の可能性があると信じていますが、やはり難しい飛行もあるのだと思いました。
いえ、今でも「何とかすれば・・・」という気持ちはありますが。

Unlimited CategoryのSequenceを練習で飛んでいると、何度試しても無理な組み合わせが存在します。
例えば、昨年2012年のUnlimited Known。


2012 Unlimited Known
 
残念ながら、Figure 1からお手上げです。
 
45 up invertedから1/2 loop down、45 downで1 1/2 outside snap・・・。
この1 1/2 outside snapの開始前の時点で速度が130MPH近辺になっていて、すでにOutside Snap Rollの速度限界を超えてしまっています。
 
途中でPowerをIdleにしてLoopを行えばよいのか、しかしそれでは45 downまで機首上げすることが難しく、結果時間がかかりすぎて、やはり速度超過です。
無理を繰り返せば、満足感の代償として、機体への負担が大きくなります。
ここさえ飛行可能なFigureに変更できれば、精度はともかく飛行可能なのですが。
 
安全性を考えると、Pitts SpecialではAdvancedまでの飛行に留めた方がよいのでしょうか。
残念です。
 
 
さて、このようなSnap Rollの練習を繰り返していたら、Propeller Bladesの根元からのGrease Leakが酷くなってきました。
 
 
数年前も、修理を繰り返しても漏れが続き、問題のある部分でした。
まだ飛行は可能な範囲ですが、対処が必要です。