2014年8月25日月曜日

Mission completed


今朝は晴れたいい天気になりました。この先は安定した天気が期待できます。




NM州は本当にきれいなところです。・・・ひょっとしたら、次に住むのはこんなところかもしれません。




3番機のExtra 300Lに乗るのは若干19歳のキャメロンさん。夏休みの間、Team OracleのExtraの飛行を担当しました。今回が最後の仕事です。お疲れさまでした。




Delanoの競技会でまたお会いしましょう。Intermediateの健闘を祈ります。




Challenger IIIとExtra 300Lはすぐに人だかりができます。

「Seanはどこだ?」

 ごめんなさい、Seanはここにはいないのです。Arizona州Cottonwood空港にて。




CA州に入りました。Barstow-Daggett空港。あと1 Leg!




もうすぐこの操縦席ともお別れです。Challenger III、あなたは本当に気難しい飛行機でした。




見慣れた景色が見えてきました。CA州Bakersfield付近にて。




右翼に見えるCoalingaの町。




写真中央にNew Coalinga空港。5月の競技会を思い出します。




Salinas空港の格納庫に到着。Mission Completed・・・。





一般的に、「飛行訓練において、First Solo(初単独飛行)は一つしかない」と言われます。しかし、異なる機種に初めて一人で乗り、それが特殊な飛行機やOperationなら、それもまたFirst Soloであるように思います。

初めてIMCの中を単独飛行を行ったこと。初めてPitts S-2Bで単独飛行を行ったこと。初めてCargo Pilotで単独飛行を行ったこと。そう言えば、初めての競技会の参戦も私一人でのことでしたから、やはりFirst Soloに近い気持ちになったものでした。

今年のTeam Oracleのシーズンはまだ半分が残っていて、またいずれこの飛行機を運ぶことになるのだと思うと少し気が重くなりますが、まずは一仕事を終えたのだと、今夜は乾杯でもして祝いたいと思います。

2014年8月24日日曜日

DIVE, DIVE, DIVE!


Team Oracleによる、ファンライドは大成功でした。Minnesota州Flying Cloud空港にて。




翌日。日の出と共に出発!・・・のはずでしたが、Ceiling(雲底)は800 ft AGL。Special VFRでの出発は可能でも、こんな天気が150 NMも続いてしまっては無理です。




3人揃って、満場一致で天候待ちになりました。明日の昼までには、Salinas空港まで帰りたいのですが、ついていません。




昼前。Ceilingが1,500 ft AGLまで上がりました。航路上の天候も少しずつ回復しています。

どうする?
行くか?
行きましょう。

予定を5時間も遅れての出発となりましたが、今日中にNew Mexico州まで行ければと思います。




30分後。ようやく雲の上に上がれました。向い風を避けて、高度を6,500 ft MSLで巡航。




最初の燃料補給地、York Municipal空港。Nebraska州York市。




地平線の向こうまで農作地が続いていました。農薬散布の飛行機が活躍しています。




2回目の燃料補給は、Colorado州のLamar Municipal空港。近付くThunderstorm(雷雲)に焦りましたが、空港の東を通り過ぎただけでした。




Thunderstormを避けて飛行を続けます。




New Mexico州に入りました。あと1時間ほどで、今日の到着地のDouble Eagle II空港です。




残念ながら、Double Eagle II空港はThunderstormに覆われてしまいました。さあ、どうする?

Hard left turn!
DIVE, DIVE, DIVE!

隣のAlbuquerque(アルバカーキー)国際空港に行き先を変更して急降下、Leadの機転に助けられました。着陸時、どういう訳かRudder Authorityが極端に少なく、方向維持に苦労しましたが、理由は10 KTSの背風が原因でした。大空港では、他の大型機の都合に合わせる必要もありますが、背風下の離着陸は尾輪式飛行機では非常に危険です。




何はともあれ、無事に着陸できて一安心。




明日は6時集合、7時出発です。お休みなさい。

2014年8月21日木曜日

着陸を少し考える




ボスからの連絡で、またChallenger IIの練習飛行をすることになりました。MN(Minnesota)州からCA州まで、現在のShow PlaneであるChallenger IIIのFerry Flightを私が行うそうです。




操縦席は通常のPittsよりもゆったりと作られていて、飛行機の全てに手足が届いているかのように錯覚してしまう、とても乗りやすい飛行機です。ただし、この文章には「上空では」という言葉を最初に加えなくてはいけませんが。




単座機らしく、操縦席からの前方視界は良好です。




上反角のない、下側主翼。Inverted(背面)時でも、通常のPitts SpecialのようなRoll方向の不安定な挙動はありません。しかし、短所は翼端のGround Clearanceの低さです。Wheel Landing(接線着陸)を行えば、横風時のWing Lowの許容量は解決しますが、速い進入速度(120 MPH)から滑走距離が長くなることが欠点。日本の大利根滑空場(滑走路長 600 m?)のようなところでは難しそうです。




一度離陸してしまえば、まるで水を得た魚のように、嬉しそうに飛行してくれます。




同じ滑走路で、ただ同じように離着陸を繰り返しても得るものはありません。周辺の空港にも足を伸ばして、Downwind EntryやStraight-in、Overhead Approach、Downwindからの180 degree Approach、いろいろな進入方法を試してみました。




先日お邪魔したワイナリー(写真左側)が見えました。




仕事が落ち着いたら、ぜひサイクリングに来てみたいです。




King Cityの南側から、Runway 29のLeft Downwindへ。




ボス宛ての、「飛行機は無事です」のメッセージ。

およそ15回着陸して、その内3回はGo aroundをしました。この飛行機は主脚がタイタニウム製で、スプリング作用だけが極端に強く、少々の衝撃でも反発します。例えるなら、Damperが抜けて、バネだけになった古い自動車が、山道で跳ね回るようなようなものでしょうか。




午後はNew Coalinga空港へ行ってみます。




誰もいなくなった格納庫で飛行機を掃除。昨日までの賑やかさが夢のようです。



飛行機の着陸には、まず第一に、接地時の降下率が限りなく小さいことが求められます。「接地時の速度が速いから何度も跳ねるのだ」と言われますが、私はそうは思いません。速度が速くても、適切な姿勢で、緩やかに接地させれば、飛行機は跳ねることなく着陸します。ゴムボールも地面に叩き付ければ大きく跳ねますが、緩やかに、ゆっくりと地面に置けば跳ねることがないことと同じです。

しかし、非常にPitch操作が敏感なこの飛行機で、飛行に用いるTotal Energyを失うまでの数秒間に、迷うことなくcm単位で高度を操作することは、今の私の技術では極めて困難・・・。

ではどうするか。仮に、通常よりも速い140 MPHの速度でApproachすれば、数秒という時間的余裕が倍になります。しかし、速度が速いため、Approach中に受ける気流の乱れの影響も大きくなり(速度が倍になれば、影響は4倍と言われます)、また同じ出力でのApproachなら降下率は速度に比例して大きくなり、欠点も目立ちます。

逆に速度を100 MPHと遅くすれば、遅いために操縦舵の効果は減り、AOA(迎角)は大きく、接地姿勢はThree Point Landingに近くなり、Landing GearのSpringyな性格が現れ、機体の挙動が激しくなります。

すると、Final Approachの速度は110 MPHから120 MPHの間で、接地時の降下率を管理することとなりますが、Total Energyを維持しながらも時間的な余裕を保つには、Powerが解決策の一つとして考えられます。

もちろん、これが最終的な目標ではありませんし、いつか必ず遭遇するであろうPower Failureでも無事に着陸させるには、Power Off Landingは習得すべき技術です。しかし、残念ながら今の私の操縦技術では解決はこれしか見当たらず、研究は今後も続けることと約束して、まずはこのミッションを遂行することにします。






Oracle Challenger III
2014年8月21日 MN州 Flying Cloud空港にて



というわけで、小手先の技術を用いて、本日Challenger IIIの初飛行を終えました。いい飛行ができますように。

2014年8月20日水曜日

訓練お疲れさまでした


T-6が格納庫に帰って来ました。お2人にはぜひ乗っていただきたかったのですが、右側Flapの問題で残念ながら整備に入ってしまいました。また次回いらしたときにお連れすることを約束します。




幾度もの更新、改修作業をしているこの飛行機ですが、とても1944年の製造とは思えません。日本の戦闘機のような、流れるような美しさはありませんが、アメリカの飛行機はどれも製造工程は少なく、生産性が高かったと聞きます。加えてこの乗りやすさ。こんな飛行機がたくさんあれば、さらに多くの飛行士を育成できますから、国力が戦争の勝敗を分けるのだと納得できます。




訓練を終えて、お2人に記念の書き込みをお願いしました。






ありがとうございます。職員一同、大切にします。




7日間の総飛行回数は25回を数えました。お疲れさまでした。




今夜の夕食は、部屋でうどんです。








お土産にいただいたチューブ入りの生姜が大活躍です。




空港までお送りする途中、Salinas空港のTeam Oracleの格納庫に寄りました。 




Pitts S-2S、Oracle Challenger II
Sean D. TuckerのBack up用の飛行機で、普段は彼が練習に使っています。






今後の機体の改良で役立ちそうなアイデアがたくさん見られる飛行機です。



では、そろそろ空港までお送りします。お越しくださってありがとうございました。賑やかで、楽しい9日間でした。またお会いしましょう。