2018年5月13日日曜日

REDFOX Airshows - 2018 Japan Tour プロジェクトを達成しました

 



51215時(日本時間)をもちまして、REDFOX Airshows - 2018 Japan Tourのクラウドファンディングプロジェクトを成立することができました。

5月14日(月)午前10時現在、支援金総額は448,5000円、目標額の4,230,000円から105%の達成です。ご支援くださいました皆さま、応援してくださいました皆さま、そして多くの助言をくださいました、Readyforのスタッフの皆さまに心よりお礼を申し上げます。



REDFOX Airshows - 2018 Japan Tour プロジェクトページ



現在、10月から11月末日の期間中に行われるイベントの開催者に、参加の可否の連絡と調整を行っています。参加が可能なイベントが決まりましたら、新たにネクストゴールとして発表し、支援金の募集を行います。今後もどうぞよろしくお願いします。






なお、518日(金)午後11時の期限まで引き続き支援は可能です。423万円の目標金額を超過した分は次の優先順位で利用させていただきます。

1. イベント当日の飛行回数の追加   67,353
当初の計画にある開催日106日(土)と7日(日)、各11回としたものを12回おします。飛行機使用料は112,255/時、10.3時間、2回の飛行で67,353円との予定です。

2. 日本から米国への機体輸送費の追加分   200,000
ロサンジェルス-能登空港の往路は約80万円との見積ですが、岡南飛行場-キングシティーの復路は100万円超との見込みです。検査が入れば検査費が、さらに諸経費なども加わるとのことですが、現段階では全額はわかりません。20万円を計上させていただきます。

3. 飛行申請代行料(当社負担)   300,000
外国国籍の飛行許可申請に関する交通費(国交省と、東京と大阪の両航空局への交通費、イベント開催地への事前調整の交通費)と書類作成に関する人件費300,000

4. 次のイベントでの活動費用に充当




夢が現実となり、未定だった計画が実行となりました。計画の実現に向けて、気を引き締めて進めて参ります。ご意見、ご感想などありましたら、遠慮なくご連絡ください。皆さまとお会いする日を楽しみにしております。



2018年5月6日日曜日

REDFOX Airshows - 2018 Japan Tour クラウドファンディング期限まであと10日




REDFOX Airshows - 2018 Japan Tourと題した当計画は、クラウドファンディングを通して、引き続き支援金の募集を続けています。




REDFOX Airshows - 2018 Japan Tour プロジェクトページ



このプロジェクトを3月27日に公開して、その後約1か月の間は予想を上回る支援がありました。現在までの支援総額は231万5000円。90人の方々から支援をいただき、達成率は54%です。皆さまのご支援を心より感謝いたします。






写真提供: maruda様



ただ残念ながら、4月以降は支援が急激に減少し、期限までの目標金額である423万円の達成は厳しくなってきていることが現状です。期限の5月18日、金曜日、午後11時までに目標金額以上に到達することがこのプロジェクトの成立要件です。何卒、このプロジェクトの趣旨をご理解いただき、皆さまのご支援をお願いします。



※1 当計画は、期限の5月18日午後11時までに、支援総額が目標額の423万円に達して成立、実行となります。不成立の場合は支援金の配当がないため、当計画は全てがキャンセルとなりますことをご了承ください。

※2 当計画が不成立となった場合は、皆さまからいただきました支援金は、全額が滞りなく返却されます。どうぞご安心ください。

※3 来年度以降は米国国内の活動に集中します。Japan Tourは今回のみの活動です。








さて、クラウドファンディングのプロジェクトぺ―ジ内の「新着情報」に、メッセージリレーとして、友人の皆さまから貴重なメッセージをいただきました。ここにリンクを掲載します。



第1弾 内海昌浩様   https://readyfor.jp/projects/REDFOXAirshows2018/announcements/75910


写真提供: 平野千加子様



第2弾 村田真子様   https://readyfor.jp/projects/REDFOXAirshows2018/announcements/76220




第3弾 山田信弘様   https://readyfor.jp/projects/REDFOXAirshows2018/announcements/76296




第4弾 小山和博様   https://readyfor.jp/projects/REDFOXAirshows2018/announcements/76347



写真提供: 小山和博様



第5弾 堀内武雄様   https://readyfor.jp/projects/REDFOXAirshows2018/announcements/76433




第6弾 飯島朋子様   https://readyfor.jp/projects/REDFOXAirshows2018/announcements/76495



写真提供: 飯島朋子様



第7弾 八尋勇人様   https://readyfor.jp/projects/REDFOXAirshows2018/announcements/76537



写真提供: 八尋勇人様



第8弾 鐘尾みや子様   https://readyfor.jp/projects/REDFOXAirshows2018/announcements/76654


写真提供: 鐘尾みや子様



皆さま、お忙しい中素晴らしいメッセージをありがとうございました。期限の5月18日まであと少し。それまで努力を続けます。

2018年5月2日水曜日

愛機 Pitts Special S-2Sのご紹介



写真提供: John King氏



20169月、テキサス州で行われたUS National Aerobatic Championships(全米曲技飛行選手権)に、私は初めて出場しました。使用する機体はPitts Special S-2S。複葉機形式の、単座の曲技飛行機です。Pitts Specialの特徴的なカラーリングに、古典的な、丸みを帯びた翼端や尾翼部分。一見すると何の特徴もない、普通のPitts Specialです。




Pitts Special S-2S



1980年代の曲技飛行競技というと、アンリミテッドカテゴリー(5つある曲技飛行競技のカテゴリーで最上級)も含め、まだPitts Specialが多く占めていました。1990年代になるとドイツ製Extra やロシア製のSukhoiが数多く見られるようになり、それら単翼機型の曲技飛行機の特性に合わせ、競技飛行の難易度は年々高くなっていきます。その結果、Pitts Specialは次第に性能が不十分、過去の機種であると認識されるようになり、競技者たちは次々に単翼機に移行していきました。


(いえ、全てはエナジーマネージメントが問題で、少なくとも1990年代のシークエンスなら、性能が不十分だったわけではありませんが、ここはまた次の機会に。)




2016 Unlimited Categoryの参加機

Extra 330SC、MXS、Edge 540、Extra 300S、Extra 330LX、CAP 231、Panzl S-330、そしてPitts Special S-2S。こんな光景がもっと増えて欲しいと思います。



そのような背景があるためでしょう。「お前は本当にあの飛行機でアンリミテッドを飛行するのか?」と、現地で疑問の声が聞かれました。「多分お前は何か勘違いしているんだ。やめた方がいい。」という意見も。私がこれまでアンリミテッドで競技に参加行してきたと言っても信じる人はここにはいません。では私のすることは1つ。このいわゆる「古典機」のPitts Specialでアンリミテッドを飛行することです。




最終日、Free Unknown 2の出発前。想定できる全てのポジショニングの組み合わせを確認、対処方法を復習します。



2016年度US Nationalsの私の最終的な成績は65.44%13人中11位の成績でした。3回行った競技飛行の全てでHZ(ハードゼロの意、規定のフィギュアを誤って飛行した、または飛行しなかったとの判定)を受けたこと、そして細かな精度がまだ不十分なことが残念でした。しかし、全米各地からのベストパイロット達を相手に、「古典機」Pitts Specialで他の高性能単翼機たちに堂々と戦いを挑み、競技飛行を成立させたことで周囲の視線は一変。以降、疑問の声は消え、応援の声が聞かれるようになりました。




Pitts Special S-2Sの計器盤



具体的に、Pitts Specialと単翼機型の曲技飛行機で、特徴や飛行特性はどれほどの違いがあるのでしょうか。出力は同程度として、簡単に比較してみます。






Pitts Specialと単翼型曲技飛行機で、それぞれの項目で優劣があるため、一概にどちらが優れているとは言えません。言い換えれば、最新型の単翼型曲技飛行機が複葉機型よりも優れているとも言えず、私は「単翼機が曲技飛行機の答えではない」と考えます。




胴体のファブリック張り替え作業



上のような特徴を持つ複葉機型のPitts Specialですが、確かに市販のPitts Special S-2BS-2Cでは、現在のアンリミテッドカテゴリーの飛行は性能的に無理があります。年々高くなるアンリミテッドの難易度は、20年前と比べると30%から40%増。そのような「スーパーアンリミテッド」なシークエンスでも、数々の改良を施し、性能を大幅に向上させた私のPitts Special S-2Sなら十分に対応が可能で、つまり勝利できるかどうかは飛行士の性能次第です。




動画: 2016 US National Aerobatic Campionships、4-Minute Freestyle
撮影: Michael Lentz氏



搭載するLycoming社製AEIO-540-D4A5 EXPエンジンは、260HP2700RPMから330HP2800RPMに出力を向上。大推力を発生させるMT-Propeller社製のMTV-9-B-C、直径203㎝、ブレード幅25㎝の大径プロペラを組み合わせ、加速性能と上昇性能が大きく向上しました。エルロン面積は約50%大型化し、ロール率を360/秒まで向上し、アンリミテッドカテゴリーの複雑なフィギュアにも対応可能です。さらに、水平尾翼部分を改良し、45度を超える超高迎角での飛行を難なく行う性能を得ました。総合的な飛行性能は200%(?)向上したのではないでしょうか。




High α Challenge!

迎角45度以上の超高迎角の飛行も、この状態からのLoop(宙返り)も難なく可能です。



私が好み多用する「低速」、「超高迎角」の飛行はこの飛行機が最も得意とするところで、私とこの飛行機の相性は最高レベルだと思います。これまでの曲技飛行競技で培った精確かつダイナミックな飛行技術で、きっと皆さまを魅了することでしょう。Pitts Special S-2Sの異次元の飛行にどうぞご期待ください。

2018年4月19日木曜日

夢を描こう

REDFOX Airshows - 2018 Japan Tourのクラウドファンディングサイトは終了まで残り28日となりました。これまで65人の方々から支援をいただき、支援総額は1,780,000円、達成率は42%。プロジェクトページの訪問者数や滞在時間、購入率など、非常によい成績とのことです。今後もどうぞよろしくお願いいたします。






大空に夢を描こう! 日本の空にプロのエアショーを!
https://readyfor.jp/projects/REDFOXAirshows2018









Red Bull Air Raceはご存知でしょうか。2月に行われた第1戦のUAE(アラブ首長国連邦)アブダビに続き、今週420日(金)から22日(日)はフランスのカンヌを舞台にした第2戦が行われます。日本から出場する室屋義秀選手は去年念願のチャンピオンタイトルを得て、第1戦は最終的に2位の好成績で終えました。飛行機はとても高いレベルに仕上がり、素晴らしいチームメイトに恵まれ、この第2戦も大きく期待できます。






Red Bull Air Race(以下RBAR)は世界各国でTV放映が行われ、インターネットでの情報配信もあり、世界中で非常に高い人気を博しているスカイスポーツの一つです。現在の職場であるTutima Academy of Aviation SafetyにはRBARにレースパイロットとしての出場を夢見る方が世界中から訪れますが、ここ数年は日本からの問い合わせや訓練希望が増えています。これも、室屋選手の活躍があってのことでしょう。






RBARへの出場には様々な要求事項があり、まず第一に、現役の曲技飛行士であること、そして選抜にはアンリミテッドレベルの曲技飛行技術が求められます。さらに、チームを編成し、運営に向けてスポンサーを獲得するなど、曲技飛行士としての技量に加え、リーダーシップやビジネスマンとしての高い能力も重要です。飛行訓練を開始してから、準備も含めて、5年から10年の長期に渡る努力が必要です。






では、その夢に向かってどこから始めるべきでしょうか。まず、目標が高すぎるとその輪郭はぼやけてしまいますから、目標は手に届くところに設定してください。例えば、私たちは自転車で道をどう走っているのでしょうか。遠くを見るとまっすぐ走りやすくなりますが、細かく考えると、おそらく私たちは10m20m先を見て身近な障害物を確認する、そしてさらに遠くを交互に見て、行先を確認しながら走り続けていると思います。






仮にあなたの最終目標が「RBARにレースパイロットとして出場する」であれば、難しく考えずに、まずローカルの曲技飛行競技会に出場することを最初の目標にしてはどうでしょうか。そこまでに必要な期間は、飛行訓練の期間中の天候や、開催される競技会のタイミング、出場するカテゴリーの難易度にもよりますが、最短で2か月から3か月あれば可能と思います。思い描きやすい目標です。出場が初級レベルであってもそこは緊張感の漂う真剣勝負の場。苦しい訓練も、競技会を思うと元気も出てくることでしょう。






競技に出場して、そこで自分をまた見つめ直してみましょう。次の競技会が待ち遠しいと思えばまた挑戦する。でも、思っていたほどの魅力がなかったと感じる方もいることでしょうが、それもいいのではないでしょうか。代わりに、エアラインやヘリコプターなどの職業パイロットに魅力を感じたり、飛行機の世話をしてくれた整備士の仕事に興味が移った方もいるかもしれません。それも大きな収穫であると思います。






私の航空従事者としての出発点は、19924月、航空整備士を目指して、北海道千歳市の日本航空学園千歳校(当時)に入学したときでした。以来25年間、飛行資格、航空整備資格、飛行教育証明などを取得し、曲技飛行訓練を続け、少しずつステップアップをしてきました。もしあの時に数十年に渡る長期の目標を掲げてしまったら、私は途中で目標を見失って挫折したことでしょう。






今の私は25年前に私が夢見た存在に近いと思いますが、それでもまだ数多くの障害が立ちはだかっています。毎日苦しみ、もがきながら活動を続けています。しかし思うのは、例えば全ての目標を成就した30年後の私が昔を思い出したとして、一番楽しかった、輝いていたと、また戻りたいと思うのは今のこの時代ではないかと。夢を持ち、これからの未来に憧れ、それに向かって努力できる環境と情熱が今の私にはあります。とても幸せなことです。






人生は短く、しかし可能性は無限です。あなたに夢があるなら、憧れがあるなら、躊躇せず、まず身近な目標から始めてみてください。10年後、立派に夢をかなえたあなたにお会いすることを楽しみにしています。

2018年4月14日土曜日

失速に関する考察




「失速を防ぐには速度低下を防ぐことが重要だから速度計を確認して、必要な速度を維持して飛行しなくてはいけない。」 by 飛行教官


訓練中によく聞かれたこの言葉。

一見すると正しいようなでもどうしても気になる
数年前の訓練で、再び耳にしたこの言葉の真相を探ってみました






雲の低い、冬のメンフィス国際空港。ILS Runway 27で空港へ進入しRunway 18Rへサークリングアプローチ。滑走路まではあと1/2 マイル。着陸に備えてフラップスを10度から20そして30度へすると突然、飛行機が右に傾き始めます。「左から風でも吹いているのかないやこれはAsymmetric Flap Extension(左右でフラップ角度が異なる異常事態では?」

降ろしたフラップレバーを元に戻して、右へのロールを止めようと一杯に左エルロン。同時に右へのヨーイングを打ち消すために左のラダーも奥まで踏み込む。何とかまっすぐには飛ぶがとても不安定。滑走路は左側、目の前には空き地この際目の前の空き地に降りようかでも、何とか滑走路まで戻れそうだ


踏みすぎている左ラダーのせいで、醜くスキッディング気味に左旋回ふらつきながら滑走路にたどり着きあとは接地するだけ。速度が足りないので少しパワーレバーを足すしかし次の瞬間には高度を上げてしまう飛行機パワーが多すぎだ。絞らなくてはそれを繰り返しているうちに機体はバランスを崩し始めさらに速度を失い約80KTS、最後に機体は滑走路上で右にロールし、機首から滑走路へ


響く激突音。






しかしご安心くださいこれはCessna C-208B、通称「グランドキャラバンのフライトシミュレーターでの訓練でのことですこの日、異常姿勢からの回復操作に続き二度目の墜落をしてしまい、意気消沈しましたエアロバティックフライトのインストラクターである私のプライドは打ち砕かれましたが、危険な状況も安全に訓練を行えるフライトシミュレーターには感謝です

はい終了。Asymmetric Flap Extensionだとは判ったようだけれど、接地時の速度が遅すぎだね。打ち合せで言ったように、速度90KTSから100KTSの範囲を保つようにこの飛行機のVs0フラップが下がった状態での失速速度50KIASVs1フラップが上がった状態での失速速度63KIASということはフラップの下がっている左翼は50KIASフラップの上がった状態の右翼は63KIASで失速するわけだフラップの上がった翼を失速させないように、速度を保ったままフラットな状態で接地することを忘れないようにでは、飛行機を滑走路に戻すから少し待って。次ショートフィールド テイクオフで離陸してILS Runway 36Rで帰ってこよう…。」






このC-208Bという飛行機にはCessna社製の小型単発飛行機によく見られるスロッテッド ファウラー フラップスが装備されています。翼面積を増やして揚力を増やしまた翼とフラップの間に隙間を作り、翼下部から翼上部へ流れる気流を利用して、高迎え角時に剥離した気流を整え、臨界迎え角を増やしますこれら強力な左右のフラップに同調がなければそこに生まれる揚力の不均衡は相当なものでしょう

さて、私はここでの教官の説明に、不思議な違和感と懐かしさを感じました



「失速を防ぐには速度低下を防ぐことが重要だから速度計をしっかりと確認して飛行しなくてはいけない。」



なるほどこの教官の言いたいことは判りますが、何かが欠落しているような気がしますそれは何なのかとても気になります






25年前1992年の暮れに私が飛行訓練を始めてからこれまでいろいろな飛行教官に出会ってきましたその数およそ25もちろんこの中で「速度低下=失速」などという間違ったことを教える教官は皆無です

しかし残念ながら、飛行訓練の中では「速度低下=失速」と暗示をさせるようなそんな訓練を半数以上の方たちが行っていたことを思い出します。例えば、「パワーオフストールからの回復はまず機首を下げ、出力を上げて、速度を回復してから上昇する。速度が遅いと、再び失速するから気をつけるように。」

そしてゴーアラウンドも似たようなもので、「出力を上げて、速度を稼いでから上昇する。」と説明していましたここで訓練生は、「そうか、速度さえあれば失速しないのか。」と無意識に覚えてしまい、教科書に書いてある臨界迎え角の重要性を忘れてしまいます






この誤解が生まれる原因は、英語のストールという言葉も、日本語での失速という言葉にも、減速や停止を匂わせる雰囲気があることも一因でしょう。例えば道路交通情報では、「A stalled vehicle is still on the right hand side of …(車が道路右側で、依然停止した状態で…)」というように放送します

新聞での、「加速していた景気も、今期は失速気味で…も似たようなものでしょうか。航空力学上「臨界迎え角を超えた状況=失速」という言葉で定義しているので、不満を述べたところで仕方がないのですが、訓練生が米国人であっても日本人であっても、「速度低下=失速」ではないことを理解して頂くことはとても難しいものです

飛行訓練をしているとまれに揚力が減ることを失速と理解している方と出会うこともあります。「パワーオフストールをしてみよう。」と提案して、生徒が見せるものが上昇から下降へと単に放物線を描いた飛行で、ストールもしておらず、「機首が下がったから失速でしょう?」と答えたり。時には、「L=1/2 x CL x ρ x V² x Sの揚力方程式を用いて、「速度低下が揚力低下を招くことはこの方程式からも明らか。速度低下が失速の原因だ。」と理解を拒む方もいました






それでは、先のフライトシミュレーターのAsymmetric Flap Extensionでの墜落に戻ってその原因を考えてみたいと思います。墜落時の速度は約80KTSフラップスの角度は、左30度から少し上がり、途中26-28度あたりで引っかかっている状態、右10度で固定された状態だったと思います。墜落直前まで速度は失速速度以上にありそれでも最終的に右にロールを起こして墜落してしまったなぜでしょうか

失速速度とは、最大離陸重量、重心位置が最前で…などの条件下で、+1Gでの飛行をしているときに、翼が臨界迎え角に達する速度のことです。飛行中1でも高度変化があるということはそこに迎え角の変化が起きているわけですからVsと記載した失速速度と実際の失速とで差が出てしまいますエレベータを引いた時には、迎え角が増えて失速速度は上がり、逆にエレベータを緩めた時には、迎え角が減って失速速度は下がることとなります






この失速速度という考えは横に置いて、「失速は速度にも姿勢にも関係なく、迎え角のみに関係する。」との考えを持っていればこの問題解決は簡単ですあの状況を思い出すと、私はふらつく機体での接地に戸惑っており、雑なエレベータ操作によって、機体には無駄な迎角の変化がありました。強力なフラップ効果によってフラップの下がった左翼の臨界迎え角は右翼よりも大きくありますそこで不用意に与えてしまった迎角が原因で右翼が先に臨界迎え角を越えてしまい、左右の揚力差からロールを起こして墜落ということでしょう

「速度低下=失速」と解釈してしまうと、「速度80KTSと十分にあったのになぜ失速してしまったのか?」、答えが出せなくなりますもし訓練所の担当教官が、「お前がエレベータを乱暴に扱ってしまったことでフラップの出ていない右翼が先に失速したんだ。」と説明をされていたら、違和感も懐かしさも感じなかったことでしょう




写真提供: Mr. John King



このトピックは飛行機の持つ飛行性能を最大限に発揮する必要のある曲技飛行訓練では欠かせないことの一つです。訓練をご希望の方はぜひご相談くださいこれまで目にしなかった、避けてきた暗闇に光を照らしその先の領域にぜひご一緒させていただきます