2016年11月24日木曜日

Pitts S-2S 整備作業 1



11月。Pitts S-2Sは整備及び改修作業に入ります。前回の作業が終わって、練習飛行を再開したのが5月半ばでしたから、今年この飛行機が飛行していたのはわずか4か月ほどだったことになります。今回もいろいろな計画がありますが、来年2月末には全ての作業を終えたいと思います。




嬉しいプレゼントです。山梨キャンパスの航空祭にいらしていたご家族から、ファンレターが届いていました。エマさん、サラさん、こちらこそ本当にありがとう!




紙飛行機と私。とてもハンサムです。




とてもきれいに描けました!

これから長い作業が始まります。でも、心がとても暖かく、元気が出てきます。がんばります。




Horizontal Stabilizer(水平安定板)とElevator(昇降舵)、Rudder(方向舵)を取り外してRecovering(羽布の貼り直し)を行います。まずはFabric(羽布)を剥がす作業です。少し勇気が要りますが・・・えい!




検査と清掃作業です。錆や損傷などはありません。角に貼ってあるテープは交換です。約15年経ったテープは完全に硬化して、剥がすのに苦労します。




Pitts S-2Sは複葉機です。上側と下側の主翼を支える支柱(I-Strut)も塗装表面にヒビが見られるようになりました。この機会にこれらもRecoveringです。




I-Strutと主翼の接合面の隙間は以前から気になるところでした。今回はこの隙間がなくなるよう、Fillerで整形してみます。 上手く行くでしょうか?




!! 強風で削りかすが飛ばされるのは助かりますが、枯草や枯れ葉も飛ばされてきます。






行ってしまいました。




整形が終わりました。表面を塗装しようとも思いましたが、今回は省略します。




Fabricを貼り付けます。




形の関係で1枚では貼れませんでした。片側を終えて、次は反対側を貼ります。




アイロンがけ。熱を加えると縮み、弛んだ部分に張りができます。




I-Strutを主翼に載せてみます。主翼の曲面に合い、隙間は見られません。Good!




上側もGoodです。空気の逃げが少なくなるため、来年はRolling Turnが易しくなるかも?




ふう。ちょっと一息。




次はElevatorです。




こちらは曲面が緩やかで、また上下両面を1枚で覆えるため、少し楽です。




Horizontal StabilizerとRudderは改造のお願いをしています。それらの完成にはまだ時間がかかるため、ElevatorのStitching(縫い付け)を行います。続きます。

2016年11月20日日曜日

Mission complete


山梨キャンパスの皆さまに見送られて、仙台空港へ帰ります。埼玉県桶川市の桶川飛行場で燃料補給をさせていただきました。

そして、ここにもサポートにいらしてくださった岩田さん。
「暇だし、ちょうどこっちに用事もあったからね。」と、さらりと言います。
ただただ感謝です。




初めてお邪魔した本田航空。お世話になりました。





実は、このフェリーフライトにはちょっとした出来事がありました。山梨キャンパスから仙台空港までは直線距離で189NM(Nautical Mileの略。1NM = 1.852km、約348㎞)。山間部や悪天候を避け、到着空港の交通事情も考慮して、十分な予備燃料も確保して飛行を終えるには、途中での燃料補給が望ましい距離です。幸いにも、福島空港でAV Gasを取り扱うA飛行学校に、友人を介して燃料補給についてお伺いすることができました。

小型軽量を念頭に設計された曲技飛行機は、一般的にDay/VFRの飛行を行える最小限の装備しか持たず、姿勢指示器も航法計器もなく、航続距離も短く、XC(クロスカントリー)飛行をすることは様々な障害があります。許可をいただいた時点で9月。問題は解決したかに見えました。

10月中旬。フェリーフライトを翌週に控え、A飛行学校にご挨拶を兼ねて確認の電話をします。しかし、「燃料補給ですか?Pittsで?仙台までのフェリーフライト・・・。XX様のお知り合いですか・・・。」と要領を得ません。確認して返事をするということでしたが、まさか断られることはないだろうと、この時は簡単に考えていました。

翌日、今回は燃料補給はできないと返事をいただきました。食い下がることも考えましたが、すでに信用を失った以上頼りにはできません。ただ幸運にも、当日いらしていた鐘尾みや子さんと岩田圭司さんの先輩お2人の力で、代替空港が短時間で決まりました。鐘尾さんは本田航空に古くからのお知り合いが、岩田さんは大学時代のご後輩が勤務されているそうです。「歓迎します、いつでもどうぞ」と心強いメッセージもいただきました。

この問題は私個人だけのものではありません。今後同様の航空機で飛行する方のMissionの中止、それに伴う損害。さらに恐ろしいのは、直前で燃料補給を断られ、無理な行程の飛行を強いられた。そして途中で燃料が枯渇するという危険性を含んでいるということです。とても看過できるものではありません。

後日A飛行学校に質問したところ、揮発油税の関係で販売ができなかったとのことでした。それは理解できますが、ならばなぜ最初に伺った時点で伝えられなかったのか。後で事情が変わったのなら、なぜ連絡をいただけなかったのか。私の同僚や仲間たちは、皆がProfessionalismとAirmanshipを大切に、日々精一杯活動している中、それらに反する対応に私は強い不信感を抱きます。今後、同様の航空機で東北方面を飛行する計画をされるときは、十分にご注意ください。

今回のことを教訓に、私も厳しく自身を見直し、さらに真摯に活動に取り組みたいと思います。改めて、鐘尾さん、岩田さん、急なお願いにも快く対応してくださった本田航空の鳥居様と岩田さんのご後輩(お名前を伺えませんでした)、そして飛行を支えてくださった全ての方にお礼を申し上げます。




スカイダイビングが行われていた桶川飛行場。RWY32から離陸です。




向かい風が10KTSほど。高度5,500ft MSLでGSを少しでも稼ぎながら進みます。左には板倉滑空場。




福島市の東約10㎞。雨雲を避けて仙台空港へ。




仙台空港には平野さんが手伝いにいらっしゃいました。能登、山梨、そしてここ仙台でもたくさんのサポートをいただきました。ありがとうございます。




Pitts S-2Cの清掃と検査を行います。異常なしです。2週間、苦しいときも、楽しいときも、ずっと一緒でした。がんばって飛んでくれてありがとう!




全ての片づけを終えたらもう夕暮れでした。平野さん、お腹空きましたね。ラーメンいかがですか?




帰国前、実家へ私物の整理に行きました。自転車やオートバイの部品、工具、服、雑誌・・・。全てが時が止まったように残っていました。




成田空港からテキサス州のダラス空港へ向かいます。あのB787かな?




愛機Pitts S-2Sと再会。さあ家に帰ろう。TX州ヘイルカウンティ空港(KPVW)で燃料補給。






いくつもの山を越えて。




目的地は雨模様です。今日はここで一泊。NM州ベレン。




AZ州セドナ空港(KSEZ)はとても美しいところです。標高4,830ft、気流の荒れるところですが、つい来てしまいます。




10月29日。King Cityに到着。ただいま!




Mission complete!




格納庫は埃だらけです。掃除をするので、少し待ってね。




運航管理室に私の写真が飾ってあるそうです。光栄です!
Photo: カタリナさん


たくさんの出会いがあった日々でした。急に一人になると寂しさを感じますが、すぐに慣れることでしょう。皆さま、素晴らしい思い出をありがとうございました。

2016年11月5日土曜日

2016 日本航空学園山梨キャンパス 航空祭



練習飛行を行って、大まかな飛行場所と高度を把握しました。校舎や格納庫の向こう側での演技となるため、若干高度を高めに飛行する計画でいましたが、500ftの距離で最低高度を300ft AGLとして飛行すれば問題にはならないようでした。Good to go!です。



10月15日朝。応援に来てくださった岩田さんと、Runway 15端で待機します。岩田さんは日本の曲技飛行界の大先輩です。今回も本当にお世話になってしまいました。




ダンスパフォーマンスの終了に合わせた編隊飛行の空中開花。日本航空高校の高校生の素晴らしい演技です。




そしてPitts S-2CをShow Centerへ。Cleared for takeoff!




では、行って参ります。








きれいなSmokeを描くのはとても難しいです。わずかな操縦の乱れが航跡の乱れとなって現れます。






多くの来賓、観客の方々がいらっしゃいました。ありがとうございました。




Vertical up, followed by one outside snap, then Harrier Flight・・・




最後にLow Passを。




・・・笑顔が足りません。




「Mr. Yuichi Takagi!拍手ー!」 by 水野宏一先生
水野先生、能登航空祭に続き、素晴らしいナレーションをありがとうございました。




〈動画〉 秋晴れの空・・・高校生の航空ショー10年ぶりに空を舞う

TV朝日のニュースでも紹介されました。
秋晴れの空・・・高校生の航空ショー10年ぶりに空を舞う (http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000085649.html





 〈動画〉 22016 日本航空学園山梨キャンパス 航空祭

2016年10月16日午後。Double Hammerhead Turnはきれいに決まりませんでした。残念です。




皆さまにご挨拶を。




ご覧いただきありがとうございました。




私の大切な小さなファンたちです。




水野先生と一緒に、英語でナレーションをしてくださったカタリナさん。セルビアからの留学生で、日本語を含め4か国語を話す才女です。ご一緒できて光栄です。




防災ヘリコプターによる救助活動のデモンストレーション。




陸上自衛隊の皆さま。毎日のお勤め感謝します。




陸上自衛隊の偵察用オートバイ、Kawasaki KLX250。OD色がすてき。かっこいい!




今日もいい一日でした。 




のんびりと飛行機談義。




カレンダーを作ってくださいました。ありがとうございます!


課題はまだ多くありますが、一先ず安全に飛行を終えて、そして皆さまに楽しんでいただけて、私の仕事は成功したと言っていいでしょう。本当に感動的で、素晴らしい航空祭でした。いらっしゃった観客、来賓の皆さま、ありがとうございました。日本航空高校の生徒の皆さま、航空祭の成功おめでとうございます。教職員の皆さま、大変お世話になりました。そして、この機会を与えてくださった理事長先生、校長先生に心よりお礼を申し上げます。