2013年2月15日金曜日

Critical Angle of Attack VS Load Factor

今日は雨。
Foxの曲技飛行訓練は行えず、仲間で曲技談義です。



- 速度が変わればRoll Rateが変化することは判るけれど、G(Load Factor)がかかった状態でもRoll Rateは変化するのかな?

- どうだろう?Gがかかった状態でRollするというと、Rolling Loopの状態?

- でも、それだとLoadも速度も常に変化するから、比較が難しいな。

- AileronをFullに使うと、逆にRoll Rateが遅くなることは見たことがあるよ。

- ああ、それってAileronがStall(失速)することだね。まだ経験したことはないけれど、Extraに見られるらしいね。

- おそらく、Full AileronだとCritical Angle of Attack(臨界迎角)を超えてしまうということだろうな。

- 使ってはいけない領域ということか。では、なぜその角度までAileronが可動するのだろう?

- Stallするのなら、それ以上動かないようにすればいいのに。

- なぜだろう?そう言えば、Critical Angle of Attackは速度で変化するらしいね。理由は知らないけれどね。

- え?一定だと習ったけれど?

- 確か、速度が速くなると、Critical Angle of Attackは増加するらしいよ。

- ・・・なぜだろう?

(沈黙)


- Critical Angle of Attackに乱流が関係しているのは確かだよね。

- 乱流の領域が広がれば、Stallし辛くなる・・・と考えていいのかな?

- 確か、P-51 Mustangは層流翼を採用した初めての機体だったっけ?

- 乱流境界層は速度が増えると前進していく、その進行を遅らせれば、抵抗が少ない翼型になるという考えだったかな?

- 速度が増えれば乱流の領域が前進する・・・。

- !!!

- ああ!そういうことか!

- そうか、なるほど。これはすごい!

- 問題が一つ解けたね。

- ・・・で、何を話していたんだっけ?

- Roll RateとLoad Factorの関係だよ。

- ・・・うーん、どうなのだろう?


冬の夜は長いです。

10 件のコメント:

ふくねこ さんのコメント...

あ~楽しそう。 ^o^
そんな思考実験は大好きです。
(なにせ頭でっかちな技術屋なんで。)
PPL取れたら(いつの話?)サンフランシスコ行きます。
で、緊急回避訓練ってのをやって、お天気悪くなったら「その手の話」したいですね。
その節はよろしくお願いします。
(生きてる間に行ければだけど・・・)

CFI-JAPAN さんのコメント...

楽しそうなお話ですね。あまり高等な航空力学を勉強した訳では無いのですが、私も少々アイデアと言うか意見を残させて下さい。

「G(Load Factor)がかかった状態でもRoll Rateは変化するのかな?」
証拠と言うか、証明は出来ないのですが、私はRoll Rateは変化する(減少する)のでは無いかと思います。 Gが高い状態と言うのは、Gravityが増えたのと同じ状態ですよね。 と言う事はLiftも比例して増えている。 しかし、エルロンが影響を与える面積は一定のまま。その為、影響力は減るのでは無いか?との意見です。

Liftが通常の1から3に増えても、エルロンが生み出すLift量は同じ。量は変わっても、比率を変える事が出来無い。。。のが私の考えです。

どうでしょうか?

CFI-JAPAN さんのコメント...

違った意見を、、、

「Critical Angle of Attackは速度で変化するらしいね。」
これは、エルロンやフラップの使用時の間違いでは無いでしょうか? フラップ等を使うとCl、揚力係数がグーンと増えますが、逆にCritical Angle of Attackが減少しますよね。この事なのでは無いでしょうか?

超音速での航空力学は極端に弱いのですが、もしかしたら音速前後での事かも知れませんよ。層流翼の話になってますが、この翼型は音速機とか亜音速機の話ですよね。

--- それと
「速度が増えれば乱流の領域が前進する・・・。!!!」
私の勉強不足か記憶の欠落か、、、 乱流と失速とは関係が有りますが、この場合は違うと思うのが私の意見なんです。 失速は乱流では無くて、気流の剥離ですよね。そして層流(Laminar Flow)の方が乱流(Turbulent Flow)よりも早く剥離(Separation)が始まるのでは?

(P-51の話に関連して)夏場の飛行機で、虫の死骸が前縁に大量に付いた飛行機でも普通に飛びますよね。また飛行機によってはVortex Generatorをわざわざ取り付けて乱流を作るのも有るじゃ無いですか。別の角度から考えると、デコボコしたゴルフボール。デコボコが有ると飛距離が伸びるのは故意的に乱流を生み出し、剥離を遅らせているのが原理です。

ですから、乱流が失速を早めるやCritical Angle of Attackの減少と言う考えは違うと思うのですが・・・・どうでしょうか。

(私はそこまで高等な航空力学を勉強した訳でも無く、えらい昔の話で自信が有る訳でも無いのですが。)

Yuichi Takagi さんのコメント...

ふくねこさん
いつもこんな話題で盛り上がっています。
どうぞご参加ください。

Yuichi Takagi さんのコメント...

CFI-Japanさん
私も、LoadがかかるとRoll Rateが遅くなると思います。
これは実体験からで、例えば放物線を描いて、常にPositive Gを与えた状態でのRollを行うと、 +1Gの状態よりも、+1G未満(+0.2-0.5G程度)の方がRollが効果的に行えることからです。

別の状況では、Inverted/Nose DownからのRecovery from Unusual Attitudeで、Rollを終えてからPitch upする状況と、Barrel Roll気味にRollとPitch Changeを同時に行うのでは、前者が素早くRollを行えます。

UnloadさせるとRoll Rateが速くなる、Aileronの効率が上がる、これでよいでしょうね。

Yuichi Takagi さんのコメント...

CFI-Japanさん

> 失速は乱流では無くて、気流の剥離ですよね。そして層流(Laminar Flow)の方が乱流(Turbulent Flow)よりも早く剥離(Separation)が始まるのでは?

その通りだと思います。
対気速度が上がると、翼後縁から乱流の領域が広がる。
これが原因で気流の剥離が遅れるのではと考えました。
正に、Vortex Generatorと同じ効果が高対気速度によって得られているというのはどうでしょう?

遷音速での飛行でなくても、例えば60KIASと200KIASの状況を比べても、Critical Angle of Attackは変化するということです。
AOA Indicatorなどを用いて、調べてみたいものです。

CFI-JAPAN さんのコメント...

「UnloadさせるとRoll Rateが速くなる、Aileronの効率が上がる、」
私もこれに一票です。
私にはInvertな世界は考えられないですが、、、High Gと言うよりHigher Liftで考えて見ました。
まあ、Gが増えると言う事はLiftが強くなっただけですしね。


「60KIASと200KIASの状況を比べても」
このぐらいの速度差なら、Critical Angle of Attackが変化するって変と思いませんか?
私もCritical Angle of Attackは一定と習って来ました。
NASAとかが真剣に研究して来ているのです。数式でも出てますよね。 
250ノットで変化するなら、航空力学の基礎でそれを学ぶと思うんですよね。

でもでも、実際に実験するのが確実です。結果はどうなるでしょうね。





実は、すいません。



実は最初のブログを正しく読んでませんでした。
その為、多少、私のコメントに矛盾が有ります。
「速度が速くなると、Critical Angle of Attackは増加するらしいよ。」
この『増加』を減少と思い込んで読んでました。 それで逆の事を書いてる所も少々。
すいません!
でも、臨界迎え角の変化に付いては興味の有る所です。
個人的には乱流による変化は無いと思うのですが、証明は出来無い。

Yuichi Takagi さんのコメント...

CFI-Japanさん
Critical Angle of Attack(以下CAOA)が変化することが疑問なのは私も同じです。
調べても出てきませんから、どこからの情報なのかもよく判りません。
ただ、もしこれが事実だとすると、それがなぜなのかと考えて、理由が乱流によるものかと考えました。

さらによく考えると、Load Factor Limitの高い曲技飛行機を用いたとしても、200KIASでのCAOAの飛行というのは無理でした。
どれだけのLoad Factorがかかるのか不明ですが(15G?20G?)、Over Gで構造破壊です。

このように、航空力学では初耳ということは多くあります。
CAOAよりも高いAOA、例えば30度や45度というAOAで、実はさらに高いCLが得られるというのも事実です。
まだまだ不思議なことがあると思いますよ。

CFI-JAPAN さんのコメント...

おはようございます。 今朝は寒いですね。 もしかして今日はLVKへ?

「理由が乱流によるものかと考えました。」
これはどうしても無いと思うんですよね。 
確かに乱流は失速である剥離を遅らせますけど。
普通の飛行機なら既に翼端では乱流しか無いと思うんです。
Cessnaならリベットや鉄板の継ぎ接ぎだらけでしょ。
乱流の元だらけで飛行してるのだから、私には乱流が考え難いんです。

やはり音速とか特殊な飛行状態でないと考え付かないのですよね。
どこから来たのか思い出してくれれば良いのですね。


「Over Gで構造破壊です。」
よーく考えたらそうなりますよね。
200 IKASで普通にPull Upしたら減速になるし、
減速しない様にとすれば、Gを上げるとなると、
Coordinated Turnで80度バンクを超えてしまうか。
PittsとかのVsやVaはどれ位なのかな。


「例えば30度や45度というAOAで、実はさらに高いCLが」
その角度じゃ、強烈なCdで強烈な空気抵抗・Form Dragが考えられそうですね。
この強烈な空気抵抗に対抗できるエンジンを搭載できれば・・・・・
ふと考えれば、これがヘリコプター?…ちょっと違うか。


「まだまだ不思議なことがあると思いますよ。」
これもアクロバットの楽しみかも知れませんね。
C-172な私には羨ましい限りです。

Yuichi Takagi さんのコメント...

先日の、Critical Angle of Attack(CAOA)が速度によって変化するという話を詳しく説明したいと思います。
私も科学者ではなく、ただ知識として知っているだけのことで、あまり詳しく質問をされてしまうとボロが出るでしょうが。

ある翼型のCAOAが一定というのは事実ですが、ここには流体の速度や粘性係数が一定であること、つまり流体の性質も一定であることも前提にするべきと思います。
流体の速度が変われば、その慣性も変化しますから、ここを切り離すことはできません。

高い対気速度(高レイノルズ数)の飛行では、低い対気速度の状況と比べ、空気の慣性は大きく、また翼面の乱流境界層は広域に広がっています。
低い対気速度(低レイノルズ数)では空気の剥離(Stall)が発生したAOAであっても、高い対気速度の領域になると、先のように境界層を減速させて剥離させるには、高い慣性のためにさらに大きな圧力が必要です。
つまり、低速度のCAOAと高速度のCAOAには多少の差が生じることとなります。

では、これがどのくらいの差があるかと言うと、例えばPitts Specialの翼型では、+1GのStall Speedである60MPH近辺では約15度、Vneの212MPHでは約18度だそうです。
ただ、Pitts S-2B/S-2CのVaは154MPHですから、VneでのCAOAの飛行はPositive側のLoad Factor Limitである+6Gを超えますので、実機を用いての実験は危険を伴います。
ご注意を。

詳しい内容は、NASAのHPからどうぞ。
http://ntrs.nasa.gov/search.jsp