私が技術レベルの向上を提言すると、「尾輪式飛行機、特に曲技飛行機は取り扱いが難しい。時間も限られるから仕方がない。」という意見が返ってきます。もし私が、週末にC-172を借りて飛行するサンデーパイロットだとして、「Stall Recoveryがどうしてもできなくて・・・。」、「Power off landingがどうしてもできない。」などと言おうものなら、一斉に周囲からの注意を浴びるはずなのに、なぜでしょうか。
行う訓練内容が、PittsやExtraを用いての曲技飛行であるならば、Recovery from Unusual Attitudesなどの訓練の必要性はもちろんのこと、Positive GとNegative Gの両方での飛行が想定されますから、それらの状況でのStall/Spin Recovery、つまりUprightでのStall/Spinだけでなく、InvertedでのStall/Spinを、PowerとControlの様々な組み合わせを用いて、StallとSpinのModeを変化させて実施します。「予期しない状況に陥った。結果、危険な状況になった。」などということは、訓練次第で避けらます。
着陸に目を向ければ、尾輪式飛行機の取り扱いには熟知している必要があります。Three Point Landing、またはWheel Landingのどちらかができればよいということはありません。状況によってどちらが適切か判断し、使い分けられることが必要です。Power off glideでのApproachができず、Forward Slip+Power onでのなだらかなApproachしかできないなら、Power Failになったときにどう対処するのでしょうか。飛行機は常にPower Failになる可能性があることを心に留め、特に単発機はいつでも滑空機に路線変更する準備が必要です。
競技会前に行った練習飛行では、予想以上に高度を大きく落としたため、開始高度に最後まで悩みました。4月のBorregoの競技会では、Knownの開始を1,500 ft AGLにして、最低高度が1,200 ft AGLで終えました。Advnaced Categoryの最低飛行高度は656 ft AGL(200 m AGL)ですので、開始を1,200 ft AGLとしても、計算上の最低高度は900 ft AGLで、安全に飛行できるはずです。
しかし、練習では予定最低高度よりもさらに下がって、200 ft AGL(2,000 ftの余裕を持って飛行したため、安全面では問題なし)となってしまいました。標高の高さと、飛行高度の高さから、性能が下がってしまったのでしょうか。今回はさらに余裕を持って1,800 ft AGLで開始しました。Down Lineでの時間も短く調整して、これで安全に飛行はできるはずです。
工夫の結果、実際の飛行では高度がそれほど落ちず、余裕を持って飛行できました。最低高度が1,200 ft AGLで、少々高すぎたほどでした。それぞれのFigureで気付いた点は・・・。
Figure 1: 前日のIntermediate Knownでも見られましたが、やはり設定した北東側の目標が精確ではないようです。2 of 4の終了時のHeadingが不十分で、下を向いたときに向きがずれていることに気付きました。放送席からも指摘されていますが、小幡選手、鋭い観察です。
Figure 3: Down LineでのHalf Snap。どうもAileronに頼りすぎて、Yawingが弱く見えます。Snap RollがどことなくRollに見えるのはこのせいかもしれません。要改善です。
Figure 5: Rolling Turn。丁寧に回ることを心がけて、よいFigureでした。一定のRoll RateとTurn Rateを維持できたようです。