2021年7月21日水曜日

2021 春季整備作業 2

 

離陸!

写真: Hayman Tam様 2021年6月26日 San Carlos空港


何気ないこの写真にも、実はいくつもの作業の跡が残されています。今回はウィールフェアリングの作業記録です。


昨年5月の試験飛行の日は、この時期には珍しく、低気圧のために南風が吹いていました。風はRWY29に対して左から真横に15KTSほど。この飛行機は20KTSの横風でも着陸できる性能をもっていますから、いつもならなんということはない風です。しかし、数カ月に渡り行った後の試験飛行ということはつまり、この飛行機に乗るのも久しぶりということであり。すぐに私は離陸したことを後悔しました。

試験飛行は成功し、さあ着陸です。風は相変わらず強く、最初の着陸では飛行機は跳ね上がりゴーアラウンド。2回目も飛行機を滑走路に正対させることができず、またゴーアラウンド。4回か5回目あたりでやっと着陸できました。




破損した左側のウィールフェアリング(下)


技量の衰えに気を落としながら飛行機を眺めると、おや?何かおかしい・・・。なんと、左側のウィールフェアリング下側が欠けていました。

接地時にクラブアングルを処理できずに横向きに着陸して、タイヤが変形、ウィールフェアリングに当たって欠けたようです。やれやれ。

昨年1年間はエアショーも競技会もなく、このウィールフェアリングはその後も修理されないまま、飛行機と一緒に格納庫に放置されたままとなっていました。

カーボンファイバー製のウィールフェアリングは非常に軽く、一度この軽さを知ると、一般的なファイバーグラス製の製品には戻れません。新品の購入も考えましたが、値段は左右で約$1200。「こんな程度の修理は簡単だぞ。」という同僚の助言もあり、今回は修理してみました。




欠けた部分をカーボンファイバーで修復しました。多少気になる出来ではありますが、十分です。続いてサンディングを行います。




もう一つ気になるのは塗装表面です。離着陸時に小石が当たったり、うっかり足で蹴ってしまったり。このウィールフェアリングも傷が目立ち始め、以前から再塗装したいと思っていました。可能な限りオリジナルの塗装を残したいところですが、私の技量ではこの複雑なパターンを再現することは不可能です。

そしてこの時点ですでに5月上旬。6月下旬のイベントまで時間もありません。・・・どうしよう。いや、今はとにかく作業です。




続いてこちら側もサンディング。




最果ての地、King City。

ただ風だけが通り過ぎていきます。
時間は1900時、日没まで1時間。あともう少し作業しよう。




ウィールフェアリングにはエポキシ系塗料の白いプライマーを塗布しました。手前の三角形の部品ははランディングギア カバー。赤の色合いが微妙に異なるため、この機会に一緒に塗装します。

他にも再塗装したい部品はあるのですが、それらはまた別の機会に。




すばらしい艶です!




・・・と、言いたいところですが、所々に塗料の垂れが見えます。まだまだです。




こちらランディングギア カバーには塗料の垂れはないものの、控えめに塗装したためかオレンジピール(ミカンの皮のような凹凸のある表面)になってしまいました。




遠目には分かりませんが、こうして近くで反射させると分かります。でもイベントで飛行するには十分ですから、いずれ時間があるときに磨くことにします。




表面を平らに修正し、1500番まで水研ぎし、そしてコンパウンドで磨きます。慎重に、慎重に・・・。

カラーリングについては、今回は白と紺の線を入れる時間もありませんし、「試験的に赤一色で飛行してみてはどうか?」という意見もありました。そうそう、そうしましょう。




6月23日1800時。イベントの3日前に作業終了です。




うれしくて、言葉がありません。




赤一色でも悪くありませんが、でもどことなく寂しい感じがします。ウィールフェアリングに何かアクセントが欲しいところです。


メッセージ?
チェッカーなどの模様?
スポンサーのロゴの移植?




一晩考えて、「REDFOX Airshows」と文字を入れることにしました。少々安直な手法ではありますが、悪くはない・・・と思います。

2021年7月5日月曜日

2021 春季整備作業 1

昨年は武漢ウィルスでキャンセルになった、CA州サンカルロス空港のHiller Aviation Museum主催のイベント、「The Biggest Little Airshow」。今年の6月に行われる予定だと連絡が入ったのは年末だったでしょうか。無事に行えれば、パンデミック後のSF Bay Areaでの初めてのエアショーであり、私にとっては1年半ぶりのエアショーになります。




The Biggest Little Airshow https://www.hiller.org/event/biggest-little-airshow/?fbclid=IwAR1036A91X92Q5sDh4R8MmiUenUuCuEhlVHnSQim0JRKsqTeEl5Zi1CaPXE

注: 予定通りに終了しました。応援ありがとうございました。



今回はそれまでの整備作業の内容を載せることにします。

Item 1 キャノピー取り付け作業



以前にも話題にしましたが、2019年8月、練習飛行中にキャノピーを壊しました。原因は機内の消火器の固定が不十分だったため。私の不注意です。Negative Gの飛行で消火器が外れ、キャノピーに穴を開けてしまいました。




幸いにもPitts Specialはキャノピー前部にウィンドシールドが備えられ、単座機ではこのように後方にスライドする方式が一般的です。複座機は右側にヒンジを備えて開く方式いなっています。元々はオープンコクピットとして飛行するように設計されていた機種ですから、この数日後のエアショーと、それ以降はキャノピーを外しオープンコクピットとして飛行しました。

オープンコクピットは開放感がありますが、8,000ft近辺の巡航高度の気温は海抜高度よりも20℃ほど低く、真夏でも寒いです。また機内に吹き込む風のためにチャートを広げることも困難で、水を飲むのも気を使います。速度が比較的遅い複葉機とはいっても、6気筒ENG装備のこの飛行機の巡航速度は約160KTS、約300㎞/h。やはりキャノピーは必要です。




インターネットで検索すると、Aero Canopyという会社がPitts S-1/S-2用のキャノピーを制作販売していることを見つけました。


AeroCanopy https://www.aerocanopy.com (後述の理由からか、現在のLink先の内容は以前と異なるようです。)


1つで$626.00、予備にもう一つ購入し、FL州からの送料を含めると約$1,600でした。$1,600・・・。いや、深く考えないようにします。




私の初めてのキャノピー作業。不安が募りますが、準備はできました。勇気を出してやってみましょう。まずは破損した古いキャノピーを載せて、大きさや形を確認します。




・・・おや?どういうことでしょう。外側にも内側にも、前後を逆にしても、新旧のキャノピーが全く一致しません。

Aero Canopy社に連絡すると、「そのキャノピーはトリミングしないといけないんだぞ。お前分かっているのか?」との返答でした。いや、トリミング以前に形が全く違うのですが。




知人に相談したところ、これらはFree Blownと呼ばれる製法で作られた低品質なもので、型を用いて作られた原型のキャノピーとは別物だそうです。数日間Aero Canopy社と交渉し、返品は受け入れるが、しかし返品時の送料(約$300)は私が負担するということになりました。そして返金も現物が再販売できることが条件とのことです。やれやれ。

しかし何があったのか、その後Aero Canopy社はこれらのキャノピーに製品としての価値はないと判断し、返品の必要はないと伝えてきました。後日返金も無事に行われ安心しました。

皆さまももしキャノピーの購入の際はご注意ください。




続いて、知人にAirplane Plastics社を紹介していただき、2週間後、見覚えのある形のキャノピーが届きました。ありがとうございました。

Airplane Plastics https://www.airplaneplastics.com/




まず3㎝くらいの余裕を持たせ、大きめにトリミング。その後サンダーを用いて、数㎜刻みで削っていきます。気長に、慎重に・・・。



削って、機体に載せて、確認して。また削って・・・。



形が整ったところで、続いて取り付け穴を開けていきます。




始めてから2か月後。ついにできた・・・。嬉しくて、言葉がありません。




これでもう、飛行中の風や寒さに悩まされなくなるのでしょう。



<動画> Pitts Special S-2S Canopy動作確認


完成です。しかし、キャノピーの破損は誰にでもあり、そして私にもまた起こるはずです。予備に購入したキャノピーの作業も行います。 (いつ?)