2022年5月27日金曜日

2022 春季整備作業 2

続いて、無線機の交換作業です。これまで搭載されていたBecker Avionics社製の無線機は20年古、修理をしても周波数の設定で苦労したり、電波ノイズで雑音が入ったり、不具合に悩まされました。約$3,000の出費になりますが、新たにTrig Avionics社製TY91を購入しました。



Pitts Special S-2Sの機内スペースは限られます。現状の飛行性能に影響を与えないよう、重心位置に近くに。整備性を考え。可能な限りコンパクトに。そして美しく。既存のエイビオニクス取り付けパネルにどうやって無線機用トレイを取り付けるか、悩みます。



GPSポジションシステム、トランスポンダー、そして今回の無線機。しかし、3つを並行して取り付けるスペースはありません。そうか、パネルの両面を使えば解決しそうです。



少々過剰品質かもしれませんが、ナットプレートを用いて、装着を簡素化しました。

・・・でも、もう少し軽量化できるのではないでしょうか。



両端を斜めに整形し、さらに2 1/4 inchesの穴を開けました。機器の冷却にも役立つことでしょう。




計画通りです。満足です。



塗装業者から受け取ったエレベーターは、残念なことにダストが付着していました。これからカラーサンディング&ポリッシングです。



Let's go!



コードが絡まって、断線しました・・・。修理して作業再開です。



まだ80%くらいの出来ですが、十分です。磨き作業完了。



最後の一袋。おいしい。



無線機の配線ハーネスを作成します。軽く、簡素に、信頼性を確保し、そして美しく・・・。



無線機のコネクターはTNC型です。アンテナケーブルの片方を交換します。



作動試験です。

感度良好!Good!



今回はEFIS(電子飛行計器システム)用のGPSアンテナを取り付けます。対地速度や進路を表示し、長距離飛行に便利なことでしょう。



GPSアンテナは下側の右主翼内に取り付けます。飛行中の空気抵抗の大きな複葉機です。外部への露出を少しでも避けるよう工夫します。



今日は山で雨が降っています。雨を見ると嬉しくなるのは農耕民族だからでしょう。



埃まみれだった外部パネル数枚を磨き、取りつけます。美しい!



エレベーターを取り付けます。

・・・曲線で描かれた美しい尾翼部分が恋しくなりますが、性能向上には仕方がありません。



左右の水平を確保しながら、各ブレースワイヤ―にテンションを与えます。



ENG部の最終確認をして。



AeroShell W100を10Qts入れて。



5月17日1930時

これより2022年の初ENG Runです。



<動画> The first engine run in 2022

You are running good!



ENGオイルも燃料も漏れは見られません。



Well done!



ENG試運転完了。感無量です。



過去数年、何度修理しても、いつもわずかにENGオイルが染み出ていた、No.2のオイルリターンライン。2日経っても漏れは見られません。直ったように見えますが、しかし不安です・・・。



夜、部屋で書類作業を。



これまでも、主翼や胴体などのVinyl Workでお世話になっているミッチさん。今回もエレベーターの仕上げに来ていただきました。



Wow!



ミッチさんは最近ご自身のPitts Special S-1Tを完成させたそうです。飛行が楽しみですね。

今回も遠くまでありがとうございました。



ENGカウルを取り付けて。



明日は試験飛行です。



おやすみ、Pitts Special S-2S。



翌日。これより試験飛行です。



美しい。

I love you, Pitts Special S-2S!



試験飛行、無事に終了。

乾杯!


面積を約10%拡大させたエレベーターは正解でした。離陸時に空気の存在を十分に感じ、また以前よりも早く機体尾部が持ち上がりました。巡航飛行や離着陸時のLongitudinal Stabilityが向上し、低速時のElevator Authorityも十分です。



<動画> 試験飛行3回目 Double Hammerhead Turn


2017年にホリゾンタルスタビライザーを小型化させた後、Double Hammerhead Turnの出来にも不満を感じていました。これも解決です。



試験飛行を無事に終えても、相手は飛行機です。常に何かが起こります。3回目の練習飛行の着陸時に、右ブレーキから妙な違和感がありました。見ると、ブレーキディスクに金属片が焼き付いていました。



よかった。叩いたら取れました。でもどこから来たのでしょう?

もちろん原因は私ですが。




翌日の飛行後の検査では、No.2のオイルリターンラインから、再びENGオイルが染み出ていました。

でも、これまでもずっとこの調子でしたから、想定内です。




なぜ潤滑システムという重要な箇所で、このように信頼性に劣る製品が引き続き用いられるのでしょう。問題は、アルミ製チューブとENGクランクケースの間に用いられる、上の写真の黒いラバー製ホースです。近く、Aeroquipのホース(下)を作成し、信頼性を向上させます。



来週、6月2日(木)から4日(土)まで、CA州トレーシー空港で曲技飛行競技会か行われます。試験飛行は終わりましたので、あと数日練習飛行を続け、3年ぶりの競技飛行に挑みます。どこまで技量を回復できるでしょうか。楽しみです。

2022年5月16日月曜日

2022 The Hammerhead Roundup

 CA州ボレゴスプリングスのボレゴバレー飛行場(L08)では曲技飛行競技会「The Hammerhead Roundup」が例年4月と10月に、年2回行われます。今年は4月21日(木)から23日(土)の日程で行われました。私は愛機がまだ整備中ですので、2月のグライダー曲技飛行競技会と同様にジャッジに向かいます。主催者のIAC Chapter 36の皆さま、ありがとうございました。




片道約460 Miles、約740 km。日没前に現地について、知人たちの練習飛行を見ておきたいです。



ここボレゴバレー飛行場では、サンディエゴ周辺の曲技飛行団体「IAC Chapter 36」が定期的に曲技飛行の練習会を行い、また例年4月と10月に曲技飛行競技会を主催しています。米国西海岸における曲技飛行のメッカ、たくさんの思い出があるところです。



2005年4月、仲間と共同所有したPitts Special S-2Bで出場しました。



一緒に参加した日本人競技者、宮崎さん。またご一緒しましょう!



3人の日本人がSportsman Categoryに参加し、2位から4位まで占め、私は3位になりました。当時33歳。念願の曲技飛行機を共同所有して、この年、CA州で開催された競技会に全て出場しました。



途中レッドランズ飛行場に立ち寄り、4年前のREDFOX Airshows - 2018 Japan Tourでお世話になった西村さんにご挨拶して、先を急ぎます。西村さん、お忙しいところお時間をありがとうございました。



それにしても、西村さんに紹介された新しい航空機用エンジンは圧巻でした・・・。


ウォータージャケット装備の、Lycoming ENG用水冷シリンダー!

イギリスのAC Aero社製の各種シリンダー。既存のLycoming ENGのクランクケースを利用して、シリンダーやピストン、その他を変更し、水冷ENG化させ、性能を向上させるものだそうです。


AC Aero https://www.ac-aero.com/



6気筒ENG用のシリンダーAssy。Lycoming ENGでは各シリンダーは個々に分かれていますが、これは片側3気筒が一体化しています。剛性も上がり、信頼性の向上が期待できることでしょう。AC Aeroはイギリスの会社で、シリンダーの制作は日本の業者だそうです。

「古いもの=信頼性の高いもの」という考えも理解できますが、過去50年以上、基本設計が全く変わらないというのはいかがなものでしょう。10年後には100LLの航空用ガソリンの生産が終了するということですし、新たなENGの開発は大いに期待です。




私のPitts Special S-2SのENGも数年のうちにO/Hが必要となります。その時、Aerobatic ENGの信頼性が十分なら、ぜひお世話になりたいと思います。



これはすごい・・・。Warbird向けでしょうか、1,600HP級のENGまで製品に揃えています。心が躍ります。


翌日、4月22日。朝少しだけ雨が降りましたが、晴れました。周囲の山に雨雲が留まってくれています。



総参加者は47人。予想以上に大きな競技会となりました。



Great Lakes 2T-1AでIntermedhiateに参加するハワードさん。お久しぶりです。

彼と私は2004年に、一緒に曲技飛行競技会に初出場しました。あれから17年。あの頃の競技者で、一体何人の方が現役で参加しているのでしょうか・・・。もちろん、私も「現役競技者」です。



2005年のハワードさん。これからも飛び続けましょう!



今回はLaser 230で参加するジョシュさん。とてもいい飛行でした。そろそろAdvancedでしょうか?



Sportsmanカテゴリー出場のジョーさん。きれいなSuper Decathlonです。



第1グループ、Primary、Advanced、Unlimitedのカテゴリーが始まります。



リバモアのXL Aviationから、Pitts Special S-2C、N15TA。懐かしい。



今回、Primaryカテゴリーには18人の参加者が集まりました。がんばってください!



旧ソビエト連邦製、Yak-52は2機が参加しました。よい飛行を!



Extra 330NG

最新鋭Extra 330NGは主翼や尾翼部分だけでなく、胴体までもCFRP製となっています。残念ながら、NGはあまりよい評判を聞きませんが・・・。



競技準備ができました。私もジャッジラインで待機します。



Extra 330SCでUnlimitedカテゴリーに参加する、AJさん。今年のWAC(World Aerobatic Championships、国際曲技飛行選手権)に、Team USAの一員として出場予定です。強い競技者に成長しました。



1日目は風が強く、砂嵐の中での、8時間のジャッジ活動でした。

疲れ果てました。おやすみなさい。



翌日2日目。今日は雨雲も去って、風も落ち着き、いい1日になりそうです。



記念撮影です。



UNLカテゴリーのUnknown

友人が参加しています。がんばってください!



全競技者が3回の飛行を行いました。



無事に競技終了です。お疲れさまでした。


競技者の皆さまもたくさんの反省点もあったことでしょう。しかし、私もジャッジとして反省点が多くありました。


精度の判定はできた。

コメントも表現できた。


しかし、精確に、限られた時間内に、首尾一貫した採点を行うというのはとても大変難しい作業です。

私もまだまだです。



気温30度+、暑いですが、夕方にボレゴスプリングスのビジターセンターに行きました。



砂漠に生息するサボテンたち。



こんにちは。暑いですね。



10分くらいの散歩でしたが、楽しかったです。

・・・部屋に帰ってビールを飲もう。



Borrego Springs, CA, USA



Pitts Special S-2Sはまだ整備中で、完了は5月中旬になりそうです。6月2日から4日まで、CA州トレーシー空港で開催予定の曲技飛行競技会に参加できるよう、明日からまた作業にとりかかります。