2013年8月3日土曜日

ジャッジスクール 103-3

競技飛行の様子

ボックス内で、競技者はどのような飛行を行うのでしょうか。地上からの映像があればよかったのですが、あいにく資料に乏しく機内からの映像のみです。私が行った練習飛行の様子をご覧ください。内容は今年度2013年のスポーツマン カテゴリーのノウンシークエンスです。

(注: この飛行には間違いがありますので、お時間のある方は間違い探しをどうぞ)


 

スポーツマン カテゴリー 2013年度ノウン シークエンス


先に紹介したボックス内で、このような飛行が行われます。競技者は発表された飛行順序に従って、離陸、上空で待機し、チーフジャッジ(主審)からの無線連絡を待ちます。無線で名前が呼ばれたらボックスに入り競技飛行を開始します。


2013年8月2日金曜日

ジャッジスクール 103-2

オフィシャルウィンドとX軸の方向

ボックスが設定されても、それぞれの競技者がボックス内を自由気ままに飛行してしまっては、公正、公平な判定はできません。先の103-1のボックスの図に、X軸とY軸が定められていることに気付かれたと思いますが、旋回などを除いて、フィギュアの飛行中は、競技機の機軸はX軸またはY軸に平行であることと定められています。ボックス内の風向に平行な軸がX軸、それに垂直に交わる軸がY軸です。しかし、実際には風向が軸と完全に平行となることは少ないものですから、できるだけ軸に近い方向を、運用上の「オフィシャルウィンド」として定めています。



ボックスの一例、アメリカ、カリフォルニア州、デラノ空港。
競技会向けに、空港の東側に競技空域が設けられています。
(注: 写真のマーカーは拡大して表示しています)


そして、このオフィシャルウィンドに正対する方向は、「X軸の方向」と呼称されます(上図参照)。このように、「オフィシャルウィンドの方向」と「X軸の方向」は互いに対向しているため、混同してしまうことがまれにあり、注意が必要です。昨年の世界選手権でも、単に「Direction(方向)」とだけ指示された図が掲示され、この方向がオフィシャルウィンドを示しているのか、それともX軸の方向なのか、不明瞭だったことがありました。「オフィシャルウィンドは北から南。つまりX軸の方向は南から北です。」などと、常に明確な通達があることが望まれます。

オフィシャルウィンドは可能な限り、ボックス内の実際の風向に近い方向に設定されますが、風向が変わっても微風の範囲であれば、進行を考慮して、そのまま継続されることも多くあります。また、オフィシャルウィンドは地上の風向とは無関係であることにも注意してください。例えば、地上の風は南風、上空は北風ということも十分に考えられることです。この場合は離陸は南向きに、しかしボックスのX軸は反対方向となるでしょうが、離陸の使用する滑走路の方向を決定するのは競技者(または機長)次第でも、オフィシャルウィンドの方向は通達があるまでは変更されません。オフィシャルウィンドが変更される場合は、少なくとも15分前には競技者に通達があります。

ジャッジスクール 103-1

3. エアロバティック ボックス(競技空域)


曲技飛行競技は、3,280ft (1000m)四方の正方形で仕切られたエアロバティック ボックス(競技空域、以下ボックスと呼称)で行われます。上下の高度制限はカテゴリーによって異なり、これらを逸脱した競技者には、後述するペナルティが与えられます。

(今回の全日本曲技飛行競技会では、開催はパワー(飛行機)部門のみですので、グライダ(滑空機)は除外して説明します。 )

 地上にはボックスの境界を示す白いマーカーが四隅と中間に置かれ、上空を飛行する競技者からも識別できるようになっています。



アメリカ、カリフォルニア州、アップルバレー空港のボックス。
待機中に、上空4,000ft AGLの高度からボックスを見るとこのようになります。主翼に隠れてしまって、写真では7つしかマーカーが見えませんが、どこにあるか判るでしょうか?1000m四方の大きな空域も、上空からはこのように小さくなります。

ジャッジスクール 102

2. 曲技飛行競技に用いられる航空機

飛行機



Avions Robin (フランス)
R2160



Boeing/Steerman (アメリカ)
PT-17



富士重工業 《日本)
FA-200 "エアロスバル"



American Champion Aircraft (アメリカ)
7ECA "Citabria"



American Champion Aircraft (アメリカ)
8KCAB "Super Decathlon"



Great Lakes Aircraft (アメリカ)
2T-1A



Aviat Aircraft/Pitts Special (アメリカ)
S-2C



Pitts Special (アメリカ)
S-1S (Experimental)



Aviat Aircraft (アメリカ)
Cristein Eagle II



AkroTech Aircraft (アメリカ)
Giles G-202



Extra Flugzeugbau (ドイツ)
EA-300L



Yakovlev Design Bureau (ロシア)
YAK-52



Sukhoi Company (ロシア)
SU-26



Panzl Aircraft (アメリカ)
S-330



以下は曲技飛行用の滑空機(グライダー)です。



Alfred Vogt氏 製作 (ドイツ)
Lo-100



 MDM Marganski & Myslowski Aviation Works (ポーランド)
MDM-1 ”Fox”



MDM Marganski & Myslowski Aviation Works (ポーランド)
Swift S-1


この他にも、様々な飛行機や滑空機が存在します。
見ているだけでも楽しいものです。

ジャッジスクール 101-2

1. 曲技飛行競技の概要

曲技飛行競技とは何か



以前、「曲技飛行と曲芸飛行」の違いについて解説をしましたが、他によく耳にする質問は「曲技飛行競技とエアショーは何が違うのか?」というものがあります。どちらも似たような曲技飛行用の飛行機(または滑空機)を用い、青空を舞台に曲技飛行を行うという点では同じように見えます。しかし我々は、これらは似て非なるものとして区別します。

曲技飛行競技には、公正な判定を定めた判定基準と、飛行を判定する複数の審判が存在します。エアショーでは飛行の正確さなど関しての判定基準は存在せず、唯一パフォーマンスの優越を計れるのは観客の歓声でしょう。エアショーではどれだけ観客を感動させたか、喜ばせたかが評価の対象となり、曲技飛行競技では判定基準の通りに正確な飛行をすることが目標となります。




エアショーでも最低飛行高度は定められており、ここアメリカではUnristricted(低高度の制限は無し)、250ft、500ft、800ftと4段階に分かれています。曲技飛行競技ではカテゴリー別にさらに厳しい設定がなされています。例えば、プライマリーとスポーツマンの両カテゴリーでは、最低飛行高度は1,500ft (約457m) AGL (AGL: Above Ground Level、対地高度の意)とされています。この高度を下回った競技者には、場合によっては退場処分とする厳しい処置がとられる場合もあり、スカイスポーツとして安全を十分に確保する努力がなされています。

もちろん、1,500ft AGLという高さも、仮に150KTS(KTS: ノット、速度の単位。1 KTSは約1.85km/時。150KTSはおよそ278km/時)という速度で垂直降下すれば、6秒程度で地面に到達しますから、すでに低高度の飛行であるという認識は忘れないようにしなくてはなりません。

ジャッジスクール 101-1

Aerobatic Chennel版 ジャッジスクールの進行について




1. 曲技飛行競技の概要
2. 曲技飛行競技に用いられる航空機
3. エアロバティック ボックス(競技空域)について
4. 競技カテゴリーと競技課目の種類
5. ジャッジングに用いる用紙
6. アレスティカタログの基礎
7. 判定基準及び採点方法の解説と2013年 プライマリー ノウン シークエンス(規定課目)の紹介
8. 0点やペナルティの適用
9. プレゼンテーション スコアの判定
10. アベレージの使用


以上の10項目について解説します。
7のノウン シークエンスについては、ここでは今年度のプライマリーのみに留めておきます。
その他のカテゴリーの課目やフィギュアについては、当日のジャッジスクールで紹介します。

2013年8月1日木曜日

WGAC/WAGAC 2013 10日目

7月27日 10日目
ついに最終日です。

曲技飛行の世界選手権は、天候不良なども考慮して、期間を10日ほど確保しておくことが一般的なようです。
去年Slovakiaで行われた選手権は、ほぼ全日程が天候に恵まれ、Known、Free、Unknown、Free Unknown 1、Free Unknown 2、Free Unknown 3と、全6回の飛行がありました。
今回は3回までと少し寂しい内容ですが、一応は競技として成立することができました。



朝、格納庫に行くと、Sbachが置いてありました。
明日のAir Showで飛行するのでしょうか。



初めて見たSbachのEngine Cowl下部。
とても特徴的な設計です。



小休憩。あともう少しで競技も終了です。



Judge Lineから戻ると、飛行機が何機が駐機していました。



出店も揃いつつあります。



Pitts、Eagle、Ultimateの混成の編隊飛行がやってきました。



大きくForward Slipさせながら進入するPitts S-1S。
「Pittsなど前方視界に劣る飛行機では、このようにSlipさせて視界を確保しないと着陸できません。」
・・・ということは全くありません。
 
ここについても、いずれ小うるさく能書きを垂れてみようと思います。



閉会式に浴衣で登場の酒井さん。(ご本人に掲載の承諾済みです)
よく似合っています。



ポーランドチームの皆さんと。
連日の飲み会もお疲れさまでした。



Advanced Categoryの団体優勝はポーランドが獲得しました。



Unlimited Categoryの個人総合優勝はロシアでした。
さすがです。



大人気の酒井さん。



酒井さん、FAI Judgeの鐘尾さんと。



私も最後に鐘尾さんと記念撮影。
10日間お世話になりました。


この直後、Helsinkiまで車で行き、翌朝6時の飛行機で帰りました。
もう少し観光ができればよかったのですが、それはまた今度。
King Cityに帰ったら、飛行機の作業再開です。