2014年9月12日金曜日

Pitts Special S-2BとExtra 300L


今月末のイベントを目指して、ひたすらFormation Aerobatics(編隊曲技飛行)の訓練です。Formation Aerobaticsは、ほぼ似た性能の機種で行うことが望ましいのですが、今回は趣向を変えて、Pitts S-2BとExtra 300Lで練習を行ってみました。




Extra 300Lの理想的な45度ラインの見え方




Pitts S-2Bの理想的な45度ラインの見え方

上のExtraの写真は右旋回中、Pittsは左旋回中ですが、通常飛行では機体が常に理想的な形に見えるよう、45度ラインを維持し、高さを維持、そして前後を調整します。地平線との関係は無視し、常にLeadとの関係が第一です。




若干前方寄り




若干後方寄り




若干高い




若干低い



Extra 300/300Lと、Pitts S-2B/S-2Cは、ここアメリカで一般的に見られる、Advanced Aerobaticsが可能な、代表的な曲技飛行機です。単翼のExtraと複葉のPitts。それぞれの性能や特徴についてはすでに多くの方に語られている通りですが、Formation Aerobaticsを行うと、その性能の違いはとてもよく判ります。




Loop中のおよそ45度Up時




Loop中の頂点

Loop(宙返り)中は速度とAOA(迎角)が常に変化します。競技を目的としないRecreational AerobaticsのLoopでは、さらに半径も常に変化することになりますから、開始時は大きな弧を描いていたものが、頂点では急になり、また加速しながら半径を広げて行きます。Formation Aerobaticsでは、Leadの軌跡を追随するよう、AOAと弧の半径の変化を考慮し、頂点では若干高めに見えるように努めます。




〈動画〉Formation Aerobatics Pitts S-2BとExtra 300L


軽いが複葉形式のために空気抵抗の大きいPitts S-2B。対して、単翼機で空気抵抗は少ないが、質量と慣性の大きいExtra 300L。Pittsは抵抗が大きいために高速域で運動エネルギーの損失が大きいが、軽いために低速域でも飛行を続けることができ、また主翼形状が理想形に近いために高AOA時でも揚力の発生が継続できます。

Extraは空気抵抗が少ないために高速域でも余裕を持って飛行ができ、大きな慣性から速度を維持して飛行を続けられる反面、低速時からの再加速に難があり、また直線的な主翼形状は流体力学的に理想的とはいえず、高AOA時の飛行は苦手です。

初期加速はPittsに分があり、しかしLoop開始後の減速が著しく、Extraはすぐに追い付いてしまいます。ここでExtraは必要以上に減速することになる訳ですが、Loop頂上でも速度を容易に維持できるPittsに対し、質量の大きなExtraは再加速に時間を要し、置いて行かれる結果になってしまいました。Loopの頂点で若干近付き気味にするなど工夫したところ、多少はいい結果が得られました。

どちらも曲技飛行機として人気機種ですが、あなたはどちらが好みでしょう?

2 件のコメント:

Okunuki さんのコメント...

同じ機体でも、先行機はループの頂点を過ぎて加速域、後続機はまだ頂点手前で減速域、と言った場面がある訳ですから、それに機体の特性の差があると、先を読んだ操作で何とか帳尻を合わせるしかありませんね。
その昔、FA200とユルギスのSukhoi31で編隊ループをしたことがありますが、ループの頂点で超低速のFA200に追従するのに、大変な苦労をされていました。

Yuichi Takagi さんのコメント...

奥貫さん
速度を合わせて飛行してみましたが、頂上でのPower調整の工夫に加えて、若干外側を飛ぶこともいい方法でした。自分の飛行の軌跡がどこにあるのか、それを目で見られるのは本当に興味深い経験ですね。