2014年2月20日木曜日

Pitts S-1S Condition Inspection


今回は友人のIさんからの依頼を受けて、彼の所有するPitts S-1SのCondition Inspection(Experimental機の年間検査。通常のAnnual Inspectionと内容は変わりません。)を行います。車に工具や部品を積み込んで、目的地のBakersfieldへ出発です。




一般的なPitts S-1Sは、4気筒のLycoming AEIO-360、最大出力180HPのEngineを搭載した、単座の曲技飛行機です。Iさん所有のこの機体は、多くの軽量化の工夫がされ、さらに特別設計の上下の主翼の組み合わせから、出力を上げていない180HPのEngineでも、Advanced Categoryで十分に通用する性能を持っています。

昨年2013年のWAC(World Aerobatic Championships)ではPitts S-1Sが参加していましたから、この機体ならUnlimitedの飛行も可能かもしれません。見てみたいものです。




このEngineはBendix Magnetoを装備していました。Bendix Magnetoでは、点火時期の確認にMagnetoに取り付けるアダプターが必要ですが、このようにIgnition S/W側に接続しても行えます。




Pitts S-1Sに通常装備される、手動式のWobble Fuel Pump。どういうわけか、下部のFuel Strainer(燃料系統内のフィルター部)が固着していて外れません。Pumpを外して外部での作業を試みますが、限られた工具では作業は不可能です。




何か使えそうな物がないか、格納庫内を捜索します。万力さえあれば何とかなるのですが、どこにもありません。・・・これは何かを支える台のようです。どうでしょうか?




台の上部の穴のいくつかがPumpの取り付け穴がぴたりと合いました。これに固定しておけば、作業は簡単です。何という偶然。数分前まで途方に暮れていたのに、突然光が見えました。




何かおかしい・・・。Spark Plugに取り付けるHarnessのNut部分が締まりません。見ると金属疲労で壊れていました。




運がいいことに、Iさんの予備部品の中に、Harnessの予備がありました。さすがにこの部品はないだろうと諦めていましたが、よかったです。




交換作業終了。手持ちの工具に限りがあるので苦労しました。Engine Runupで運転に問題がないことを祈ります。




Engine Runupの準備が完了しました。それでは、Clear Prop!




Engineは快調に運転できました。2日に渡るCondition Inspectionは無事に終了です。Iさん、お手伝いありがとうございました。9月のUS Nationalでお会いしましょう。

3 件のコメント:

CFI-JAPAN さんのコメント...

確定申告や、CFIのCheckrideお手伝いでご無沙汰してました。 カルフォルニア風メキシコ料理食べたい。 暖かいカルフォルニアに逃げたい。

James Dean Intersectionなんて有るんですね。

これから、ブログを久々に読ませて頂きます。

CFI-JAPAN さんのコメント...

アクロバットをやってる人は、操縦だけでなく、機体にも愛着を持たれてるんですね。

何時でも思うのですが、訓練機に使っていた機体やレンタル機とは大きな違いですね。感心します。

記事の中に
"Lycoming AEIO-360"って有ったのですが、AEIOってなんですか? IO-360なら、Injection Horizontally Opposided - 360 cubic inchesでしょうけど、 AEって初めてみました。

Yuichi Takagi さんのコメント...

上田さん

こちらもそろそろTax Returnを行わないといけません。来月からは訓練+競技会で忙しくなりますから、何としてもその前に終えておきたいです。

「AE」はAerobatic Engineの意味です。背面飛行設備が取り付けられた場合、「IO」が「AEIO」になります。Pitts S-2系はAEIO-540-D4A5が取り付けられていますが、油圧系統以外は外観上IO-540-D4A5と変わらないと思います。Crankshaftの肉厚が厚いなどの変更があるそうです。