6月26日(木)から29日(日)まで、WA州Ephrata(イフラタ)空港で行われた曲技飛行競技会、Apple Cupに出場してきました。これまでも出場したいと思っていた競技会でしたが、飛行機を飛行学校から借りてとなると、現地までの往復だけで大変な金額になってしまいます。今の私には競技会に参加する環境が身近にある、このことに心から感謝しています。
1週間前までは安定していた西海岸でしたが、出発の前日から前線が来てしまいました。OR州内の飛行予定航路は天気が悪く、着陸予定だった空港の周辺はVisibility(視界)が3-5 SM、Ceiling(雲底高度)が1,500 - 2,000 ft AGL、小雨も降っています。さて、どうしましょう。
進路変更して50 Milesほど東側を飛行。多少は良好な天候ですが、雲が7,000 - 12,000 ftでOvercast。雲の下を飛行するか、上を飛行するか。降水のない上を選択することにしました。雨も着氷も避けられましたが、とてもここには書けない高度まで上がることになってしまいました。
RiskとNeedsを天秤にかけて飛行しましたが、このように山岳地をVFR装備のみの単発飛行機で、しかもAttitude Indicator(姿勢指示器)すら装備していない曲技機で、雲の上を飛行することは大きな間違いです。Loss of Power時に雲の中に入ってしまうことを考えると、選択肢はBail out(緊急脱出)しかありません。しかし、例え脱出に成功しても、地上には険しい山と森林が待っていますから、スカイダイビングの経験もほとんどない私が無事に降り立つ可能性はとても低いです。
乱立する積乱雲。鳴り続ける自身の中の警報。ただ言えるのは、このように荒れた天候では、Overcastがどこまでも延々と続くことはまずありません。30 - 50 Miles毎に雲の切れ間が見え、その周期と兆候を見ます。運よく、予想通りに到着地の前に雲の切れ間がありました。ほっと一息。
OR州Prineville空港(S39)で2回目の燃料補給。まだ雲が多い様子ですが、この先の天候は大丈夫です。
WA州に入りました。右手の先にはOR州Pendleton。友人の内海氏が日本代表選手として参加した2008年のWAACに、私は整備士として向かいました。あれからもう6年。懐かしい思い出です。
夕方5時。約700 Milesの飛行の末、Ephrata空港に到着。日没間際に少しだけ練習飛行ができました。地平線に目標物が少なく、精確な飛行は難しそう。明日からの競技が不安です。
お腹が空きました。テントを設営し終えて、これから夕飯です。向こうの格納庫にはシャワーがあります。とても快適なキャンプでした。ありがとう、Ephrata空港!
翌朝。格納庫内の飛行機を出して競技に備えます。 朝方の雨も上がって、どうやら競技飛行は大丈夫そうです。
Unlimited Categoryに参加の飛行機たち。他にGiles 200とExtra 300SCが飛行しました。
おそらく、唯一の中国人競技者、カイ・ワンさんはSportsman Categoryに参加です。Tutima Academyで何度か一緒に飛行したことがありました。がんばってください。
競技の総参加者は25人。楽しむように、のんびりと続きます。
1回目の飛行、Knownの結果は5人中4位です。真下の道や柵などが目に入ってしまい、実際のBoxの軸で混乱し、最後まで余裕のない飛行でした。しかし、前回の競技会で見られた失敗を克服することはできたように思います。
Ephrata空港の南東約8 Milesに迫るThunderstorm。すでに小雨が降っていますが、引き続き競技は続行するようです。
発達し、さらに近付いたThunderstorm
そう言えば、以前あるSNSで、「空港から数マイルにThunderstormがある。あなたが滑空機で飛行するのはどちら側?」というクイズが某飛行教官から出されたことがありました。飛行する方向と、そもそもの彼の訓練方針について大きな議論になり、そのやり取りは今でも時々笑い話に上ります。それは正にこのような状況ですが、これで本当に飛行に向かうという選択肢に到達することが疑問です。
午後になって発表された、Unlimited CategoryのUnknown。6番のDiamond Loopは練習したことがありませんが、前回の競技会でのUnknownに比べれば、飛び易い内容です。
夜10時。西の空もようやく暗くなりました。
あと少しだけUnknownの練習をして休むとします。お休みなさい。
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