1. 曲技飛行競技の概要
曲技飛行競技とは何か
以前、「曲技飛行と曲芸飛行」の違いについて解説をしましたが、他によく耳にする質問は「曲技飛行競技とエアショーは何が違うのか?」というものがあります。どちらも似たような曲技飛行用の飛行機(または滑空機)を用い、青空を舞台に曲技飛行を行うという点では同じように見えます。しかし我々は、これらは似て非なるものとして区別します。
曲技飛行競技には、公正な判定を定めた判定基準と、飛行を判定する複数の審判が存在します。エアショーでは飛行の正確さなど関しての判定基準は存在せず、唯一パフォーマンスの優越を計れるのは観客の歓声でしょう。エアショーではどれだけ観客を感動させたか、喜ばせたかが評価の対象となり、曲技飛行競技では判定基準の通りに正確な飛行をすることが目標となります。
エアショーでも最低飛行高度は定められており、ここアメリカではUnristricted(低高度の制限は無し)、250ft、500ft、800ftと4段階に分かれています。曲技飛行競技ではカテゴリー別にさらに厳しい設定がなされています。例えば、プライマリーとスポーツマンの両カテゴリーでは、最低飛行高度は1,500ft (約457m) AGL (AGL: Above Ground Level、対地高度の意)とされています。この高度を下回った競技者には、場合によっては退場処分とする厳しい処置がとられる場合もあり、スカイスポーツとして安全を十分に確保する努力がなされています。
もちろん、1,500ft AGLという高さも、仮に150KTS(KTS: ノット、速度の単位。1 KTSは約1.85km/時。150KTSはおよそ278km/時)という速度で垂直降下すれば、6秒程度で地面に到達しますから、すでに低高度の飛行であるという認識は忘れないようにしなくてはなりません。
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