ジャッジスクール 104-2

競技課目の種類

これまで文章中にノウンやフリーなどの言葉が出てきましたが、これらは競技課目（プログラム）の種類です。カテゴリーによって行われない課目もありますが、ノウン、フリー、そしてアンノウンの3種類の通常課目と、4ミニットフリーと呼ばれる時間制限を持つフリーの一種があります。

 ノウン（Known）: 言葉が示すように、この課目ではすでに提示された、既知のシークエンスで行われます。アンリミテッドとアドバンスドの2つのカテゴリーでは、毎年初めにその年度内の競技で使用されるノウン シークエンスが、FAI（Fédération Aéronautique Internationale、国際航空連盟）から発表されます。世界選手権が開催されるアンリミテッドとアドバンスドの2つのカテゴリーでは、ノウンは各国共通とし、それぞれの国の国内競技会でも使用されます。

その他、プライマリー、スポーツマン、インターミディエイトの3つのカテゴリーでは、各国の曲技飛行団体がノウン シークエンスを作成し使用します。これまでの傾向を見ると、日本人競技者が海外へ競技参加をするとなると、アメリカの競技会を選ぶことがほとんどを占めており、共通性を持たせるため、全日本曲技飛行競技会ではIACが使用するシークエンスを採用しています。ただ、IACではプライマリーのノウン シークエンスの変更は数年に一度という状況ですので、今年度はプライマリーに関してのみ、独自に作成したものを採用しました。

フリー（Free）: フリースタイルとも呼ばれます。スポーツマン以降のカテゴリーで行われる課目で、競技者は競技規則に指定されたいくつかのフィギュアを制限内でまとめ、独自のシークエンスを作成します。自身の技量と競技機の性能を考慮し、シークエンスを考案する能力が求められます。フリーには必須のフィギュアと最大フィギュア数、そして合計のKファクター（難易度）の制限があり、飛行前に指定された係員から承認を受ける必要があります。

アンノウン（Unknown）: インターミディエイト以降のカテゴリーで行われます。アンノウンという言葉は「未知の、不明の」という意味で、その言葉の通り、競技会が開催されるまでは発表されません。規則では、アンノウン シークエンスは飛行予定の少なくとも12時間前までに発表されることとなっています。競技者は一旦競技が開始されれば、一切の練習飛行を禁止されますから、これまでの飛行経験とコーチなどの助言を元にアンノウン シークエンスの準備をすることになります。

以上の競技課目をカテゴリー別にまとめると、次のようになります。

 4ミニット フリー（4-minute Free）: ノウン、フリー、アンノウンとは別に開催される競技課目で、順位も分けて扱われます。4ミニット フリーは飛行するフィギュアの制限がなく、「航空機の飛行性能を最大限に披露すること」との規定があるように、ジャイロマニューバーやタンブルといった飛行も行われ、また音楽やスモークシステム（発煙装置）を使用したりと、エアショー的な要素を持つ飛行が行われます。4ミニットの言葉通り、時間制限（3分30秒から4分）があることも特徴です。IACでは、アンリミテッドとアドバンスドへの競技参加者が対象となっていますが、残念ながら全日本ではまだ開催の予定はありません。