2013年8月2日金曜日

ジャッジスクール 103-2

オフィシャルウィンドとX軸の方向

ボックスが設定されても、それぞれの競技者がボックス内を自由気ままに飛行してしまっては、公正、公平な判定はできません。先の103-1のボックスの図に、X軸とY軸が定められていることに気付かれたと思いますが、旋回などを除いて、フィギュアの飛行中は、競技機の機軸はX軸またはY軸に平行であることと定められています。ボックス内の風向に平行な軸がX軸、それに垂直に交わる軸がY軸です。しかし、実際には風向が軸と完全に平行となることは少ないものですから、できるだけ軸に近い方向を、運用上の「オフィシャルウィンド」として定めています。



ボックスの一例、アメリカ、カリフォルニア州、デラノ空港。
競技会向けに、空港の東側に競技空域が設けられています。
(注: 写真のマーカーは拡大して表示しています)


そして、このオフィシャルウィンドに正対する方向は、「X軸の方向」と呼称されます(上図参照)。このように、「オフィシャルウィンドの方向」と「X軸の方向」は互いに対向しているため、混同してしまうことがまれにあり、注意が必要です。昨年の世界選手権でも、単に「Direction(方向)」とだけ指示された図が掲示され、この方向がオフィシャルウィンドを示しているのか、それともX軸の方向なのか、不明瞭だったことがありました。「オフィシャルウィンドは北から南。つまりX軸の方向は南から北です。」などと、常に明確な通達があることが望まれます。

オフィシャルウィンドは可能な限り、ボックス内の実際の風向に近い方向に設定されますが、風向が変わっても微風の範囲であれば、進行を考慮して、そのまま継続されることも多くあります。また、オフィシャルウィンドは地上の風向とは無関係であることにも注意してください。例えば、地上の風は南風、上空は北風ということも十分に考えられることです。この場合は離陸は南向きに、しかしボックスのX軸は反対方向となるでしょうが、離陸の使用する滑走路の方向を決定するのは競技者(または機長)次第でも、オフィシャルウィンドの方向は通達があるまでは変更されません。オフィシャルウィンドが変更される場合は、少なくとも15分前には競技者に通達があります。

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